私のメールに対して町は迅速に対応してくれた。

メールを打った翌日、担当課長がジム管理人に変わってやってきたのでお話をした。

私の本心を言うと、ジムの面積を増やしてもらうことが第一の目的では無く、本当の理由は町の子供政策への意見を伝えたかったからである。

どうしてジムのことに子供の問題なんかが出てくるの?

その訳は議会中継を観ていて町の答弁に出てきた事実を知ったからだ。

私達が無くしてしまえ、と思っている部屋は「キッズルーム」として生まれた。

それは町の答弁によると子育て世代もジムを利用出来るように、との考えからだった。

ところが今まで一度たりとも使われた実績が無かった。

使われないだろうことは予測出来たのではないだろうか。

でも設計書には「キッズルーム」と書かれて作られたのだ。

とても使いにくそうな「キッズルーム」ではある。

アクリルガラスがはめられた壁のスリットから内部はうかがえるが、幼児の声は聞こえない。

入り口もジムから直接行けずに一旦廊下に出て別の入り口から入るような構造になっている。

このキッズルームを設計した設計士はキッズルームというものを良く知らなかったのだろう。

子育て世代の人が筋トレに来ることは希だろうし、万一来たとしても幼児を放っておいてマシンに一心に向かっていられる人は更に希だろう、そしてそもそも使えるような構造の「キッズルーム」になっていないのだ。

そのために現在この部屋は「管理室」という名称が掲げられた空き部屋になっている。

何故、無駄な部屋になることが分かりきっていながら町は設計書に描かせたのか?

そこにこの町独特の子供に対するスタンスが見えてくるのです。

続く。