私は典型的なお天気屋さんだったと思う

悪い印象を持たれる言葉だから"天候依存症候群"と言い直しておこう

体が気圧や湿度を感じ取るんでしょうね

目覚めたときにすでに気分は決まってしまっている軽い病気なのだろう、晴れた日は気分が良く曇天の日は悪い、梅雨時は最悪といえる

高校の進路指導の教師から北陸地方への就職は止められた

雨が降ると学校に来ない生徒だったからね

天候によって体の調子が変わるのではまともに働けない

弁当忘れても傘忘れるなと言われる環境で働ける人とは思われていなかった

それは有り難い配慮だったと身に染みて

以降太平洋側気候から離れたことはない

 

 もう時効だと思うので書いてしまおう

終着の名古屋駅に近づくと電車は減速してしまいます

朝の通勤時間帯の乗客にはそれは歓迎出来ることでは有りません

快調に飛ばしてきた急行電車は終着駅まであと少しのところで歩みを止めてしまうのです

満員の乗客はぎゅう詰め状態から開放されるのを待っているのにおあずけを食ってしまうのです

身動きの取れない体勢を我慢してきた乗客は遅々として進まない電車に苛立ち次第に息苦しくなってきます

毎日繰り返されることですが、避けることのできない嫌な時間と空間なのです

 その日の私は座席に座ることが出来て、吊り革にぶら下がった他の乗客より恵まれた状態にありました

私の上に覆いかぶさって耐えている気の毒な乗客の表情を見ることはしませんでした

その瞬間が訪れるまでは

足元を見る限り私の前には若い女性が居ることは分かっていましたが

気分が悪いような気配は何も感じられませんでした

前触れ無く突然でした

生温かい液体が私の肩と隣の乗客の肩の谷間を流れ落ちて座席の上に溜まっていきました

瞬間すべてを理解しましたが、私も隣の乗客も何も反応を起こしませんでした

ただじっと座っていました

女性を見上げるとあまりの出来事に驚愕の表情で言葉を発することも出来ずにいました

薄手のシャツやズボンを透し肌に染みてくる液体の感触を感じながら、電車がホームに着くのをじっと待ちました

何も変わりはしない?電車はいつものようにノロノロとホームに入っていきます

扉が開いて人混みが緩み最後に私たち"災難を共有した者同士"は立ち上がりました

ハンカチを座席にかぶせて「何も心配しなくて良い」

そう女性に言い残して洗面所に走ります

二人で被害状況を確認し合い汚物を洗い流しました

互いの表情から、”こんなことをしてる場合ではない”ことも共通していたようです

会社のロッカーで着替えた私はいつも通りに仕事に追われ、朝のことはすぐ忘れてしまいました

 翌日から私は電車を一本早めました、それが一番の災難だったように思います

重い空模様の梅雨時だったと記憶しています

 

 今考えると上手く二人均等に浴びせかけたもんだよなあ

ナイスコントロール(^^)/

天候依存症候群の人には辛い時期になります