田舎生活も丸六年になった

田舎の生活環境に変化は無い、高齢者がどんどん死んでいく以外は

この先もしばらくこのような調子だろう

町の人口は急速に減少している

この町は全国の自治体の中でも人口減少率がかなり上位にいる

近い将来消滅することが決定している

現在生産や生活の主力になっている団塊世代が死に絶えたとき町も機能不全となって終わる

それに続く世代に何が出来るかを考えて手立てを打っても、それはもはや手遅れと思われる

学区の中学校の生徒数は37人だ、1クラスではない全校生徒がである

私の子供時代には1学年2クラス有ったのだが

それが生徒数減少が進み近隣他校と統合されて今の中学校になったようだ

立派な校舎や体育館が出来たのはそれほど昔のことでは無さそうである

今は全校生徒数が37人に減少してしまって再統合に向かっているようだ

このような今を予測出来なかったのか、予測しなかったのか、したくなかったのか

若々しく成長を続ける幻想社会は縮小しつつ安定を目指したが成らず消滅に向かっている

 その中学時代からの友人と再交流が始まった

生活の為に村を出て行き死に場所として又田舎に戻ってきた、私もそうだ

特に気の合ったのが3人居る

半世紀ぶりの再会になるが、まあ変わっていない

4人で良く飲みに出掛ける

私は酒を断ったので彼らの運転手として重宝がられている

何も遠慮のいらない知った仲である

飲み会の様相はいつも決まっている

話は中1の英語教師が若い新任女性だったことが私達の不運だったことに始まり

時代にも恵まれたのかこの歳まで無事に生き延びられたこと

子供や孫の将来には不安を感じるが自分たちの責任ではないことに安堵し合う

この先やりたいことは山ほど有れどやれないだろうことは分かっている

次第に大きくなる声に私だけ周囲の目が気になり始める

3人は皆同じペースで酔いが回っていくのだから話は嚙み合う

しかし私は何度も何度も同じ話を聞くはめになりうんざりしてくる

そして次第に嘘か誠か計り知れない話や理論の破綻した議論になり

懇談は支離滅裂域に入り喧嘩腰になったり抱腹絶倒したりとヤレオモチロイ

私も飲むとこんなんだったのかなあ、いくら酔ってもまともだったと思っていたがなあ

やがて本心が出始める

半世紀の間に自分に起ったことを話し始める

自分の生きてきた半世紀は決してつまらないものでは無かった

有意義だったと人に知ってほしいのだ

自分の功績や苦労を分からせて自分を認めて貰いたいのだ

妻にも語ったことのない(語れない)心の奥底もさらけ出してくる

話すことによって自分自身も満足し納得できるものに昇華するのだ

私は聞くのが忍びない気もして席を外すが又戻ってくると杯に一杯注がれている

私にも彼らの域まで来いということだ

酒好きだった私だからなあ

飲まなくなった私は友にはずるい姿に写っているだろう

無防備に自分を曝け出してくる彼らのようになれない自分

でも私にも解って欲しいことは沢山有るんですよ

でも私は学習したんです

友の記憶が明日は綺麗に消え去っていることを