m君は千葉県からこの田舎に越してきました。

無類の動物好きであり、勤め先だった上野動物園を事情で辞め、遠く離れた山村にやってきたのです。

小さな動物園が有るのです、そこに勤め出したm君は都会では飼えなかった動物と一緒にこの集落の空き家に暮らしています。

海釣りが大好きで休日は釣りに没頭して、釣った魚は自分で料理し集落の皆に配ってくれます。

私も何度か一緒に釣行しましたがm君の動物の知識は度外れています。

m君にとってこの辺鄙な山村は天国のようです。

ところが先日両親と共に引っ越しの挨拶に訪れました。

海まで歩いて5分の漁師町に越すんだそうです。

両親は地震のことを心配されていました。

この地方は戦時中に東南海・南海地震に襲われています。

軍部が被害を隠蔽したこともあり多くの被災者を出しました。

それからもう80年が経とうとしています。

間違いなく来るであろう南海トラフ巨大地震。

この山村は海抜100mで津波の心配はありませんが沿岸部は相当の被害が予想されます。

「動物を逃して裏山に走れ」

ご両親は大切な息子にそう言って戻っていきました。

 

この頃、地震が多い。