竹は靱性に富み細工ものを作るのに適した素材である。
子供のころ竹トンボや弓を作って遊んだものだが、木と違って加工性が優れていた。
農作業に良く使う籠は竹で作られた物が一番優れているように思う。
中空である構造は器ものにも加工しやすく耐久性もなかなかのものである。
日本風の風情を演出するインテリアにも良く使われる。
竹で思い出すなあ。
二週間に一回打合せに駆り出されていためんどくさい物件だった。
ある種の建築工事にはそのようなめんどくさいことが往々にして起る。
設計事務所が施主の知人だったりした場合、施主の要望で喫茶店を借り切ってすべての関連会社が招待?される。
そのような緻密な打合せは一般には好ましいことだと思うのだが、
私達のようなエレベーター屋はいくつもの物件を掛け持ちしているので、1物件にのめり込めるような優雅な仕事ではない。
いつものように時間を気にしながらほとんど関係の無い話にあくびを連発していると、
内装屋さんが、
「そろそろ、竹を採ってきてもらわないとね」
すると組の監督が、
「あのときは参ったよなあ、早めに採ってこないといかんな」
私たち工場製品を扱う設備屋には解らないことを話してくれた。
その飲食チェーン店の内装は地場の竹を使って日本風に仕上げるんだそう。
そこで山から青竹を採ってきて使ったところ、工事も無事終わって店が稼動したとき竹の中の我も稼動し始めたんだと。
我の飛び回る風情はその飲食店の望むところではなく、後始末に苦労をしたそうだ。
プロとは思えぬ失敗談に私も愛想笑いをするほか無かったな。
放っておくと竹藪になると言われるように竹の繁殖は逞しく、昔先祖が開墾した竹藪だった畑や茶畑は今の人の手には負えず又元の竹藪に戻ろうとしている。
今日は集落で稲刈りが行なわれた。
何台ものコンバインが動き廻り、あっという間の出来事で終わった。
営農組合で強制乾燥をかけられた新米は明日にも各農家に戻ってくる。
花器 銘:素材感の異なる器
Kenichi Museum


