お隣のKさん丹精の珠玉の畑に育ったトマトとナスが全滅した。
畑は道路を挟んだだけの家の前に有る。
日中の大胆な犯行に驚く。
Kさん曰く、
「今日の午後に収穫しようと思っていた。猿では仕方ないわね」
一足早く猿に収穫されて綺麗さっぱりなった畑を見てそう言った。
Hさんの全面金網張り高度防衛カボチャ畑では、
伸びたカボチャのつるをたぐり寄せられ、網の目より大きなカボチャの実を砕いて盗られていた。
地引き網の網のように引き寄せられ堆く積み重ねられているカボチャのつるを見て、
Hさん曰く、
「実る前に採るしかない」
未だ固そうなカボチャを手に呆然としつつそう言った。
猿の犯行で憎たらしいのは食べ頃を良く知って狙ってくるということ。
私のミニトマトも最も熟れた実は猿が食べてしまい、二番煎じを私が食べる。
丹精は猿の胃袋に集積し、おこぼれが人の胃袋に収まる。
猿に勝とうと思ってはいけないようだ。
それは敗北感を味わうことの始まりになる。
猿との共存だ、此処は猿の惑星だ。
花器 銘:青い実の収穫
Kenichi Museum
