マイナンバーカードの普及は進まない。

4年経って20%に届かない。

何故に普及しないのか?

利便性が見えなく、誰しもが個人情報を政府に把握されることを恐れている。

※法律上、マイナンバーの活用は生活保護の申請などに限られ、税や社会保障の情報を規定外の用途で結びつけられない。

政府がそう説いても今更だが誰も信用していない。

言わば各国同様の番号制度の普及にはその国の政府への国民の信頼度が影響する。

マイナンバーカードの普及率は政府への支持率だとみて大方は正しい。

普及率を気にする政府は自分の襟を正すことが先になる。

※政府はマイナンバー制度にこれまで6400億円の予算を投じてきた。

太郎、「臭うな」

花子、「電通臭ね」

 

 

※以下日経電子版より

行政を効率化し、国民の利便性を高め公平公正な社会を実現する――。政府がマイナンバーの運用を始めてから4年が過ぎた。新型コロナウイルス対策の現金給付の申請でトラブルが続出し「何のためのマイナンバー」との疑問が広がった。アナログ国家から脱するカギは何か。

 

「確認に追われ、職員の5月の残業時間は200時間を超えた」。5月下旬、東京都八王子市の職員は疲れきっていた。同じ人が何度も申請してきたり、他市の住民が申請したり。同市は10万円給付のオンライン申請の受け付けを停止した。

オンライン申請はマイナンバーカードを持つ世帯主が政府の専用サイト「マイナポータル」で手続きする。同市は受け付けたデータを住民基本台帳と自動照合するためのシステムの改修をしていなかった。オンラインなのに紙に印刷し、確認する手間が増えた。

同じようにオンライン申請を停止した自治体は90を超える。「見た目はデジタルだが、中身は単なる手入力」。八王子市の職員はこぼす。

政府がデジタル戦略の中核に据えてきたマイナンバー制度。危機に臨んでいざ使おうとすると現場の負担は膨らんだ。自治体任せのつぎはぎ行政と、利用者目線を欠く制度設計が背景にある。

児童手当などの電子申請に使うマイナポータルを利用するかどうかは自治体の判断に委ねられている。全体の4割強にあたる800の自治体が今回の現金給付で初めて利用した。費用に見合う利点がないことが大きい。

 

 

マイナンバーカードの交付率は7月1日時点で17.5%。住民向けに提供するマイナポータルについて「年間利用は数件」という高松市も10万円給付のオンライン申請を止めた。各自治体はシステムを独自につくり、データ連携も難しい。

国は後手に回った。マイナンバーとひも付いた確定申告などの情報は各行政機関がそれぞれ保有し、一元的なデータベースは存在しない。マイナンバーカードは総務省、マイナポータルは内閣府が担当し、二重申請を止められない。

利便性を置き去りにした制度といえる。法律上、マイナンバーの活用は生活保護の申請などに限られ、税や社会保障の情報を規定外の用途で結びつけられない。行政が支援対象者を割り出し、要望を待たずに手を差し伸べる英米流の「プッシュ型支援」に使えない。

9月から始まるキャッシュレス決済のポイント還元策「マイナポイント」でも、パソコンを通じた予約などの申請が米マイクロソフトのウェブ閲覧ソフト「インターネット・エクスプローラー11」以外からできないことが判明。総務省は「利用者が多いソフトを採用した」というが、不便を指摘されて対応を急ぐ。

米国は大恐慌後のニューディール政策の一環で1935年に失業保険や年金給付を定めた社会保障法を成立させ、番号制度を始めた。身分証明にも使う。英国は社会保障法を根拠に国民保険番号を全国民に割り振り、給付や納税に使う。これらの国は新型コロナ対策の給付も素早かった。

日本では民主党政権時代に構想が本格化した。当初は低所得者に減税と現金支給を組み合わせる「給付付き税額控除」とセットで提唱されたが、情報漏洩や政府による一元管理への懸念から「セキュリティーを強く担保しながら利用目的を拡大する高い目標を課された」(NTTデータ経営研究所の河本敏夫氏)。

 

 

行政機関の情報管理を重視した結果、「誰も全体像を正確に把握していない」(政府関係者)制度となった。

政府はマイナンバー制度にこれまで6400億円の予算を投じてきた。マイナンバーカードを普及させるだけでなく、重要なのはマイナンバーの利便性そのものを高めることだ。例えば、緊急時の給付金事務の位置づけを法的に明確にすることも必要だろう。

政府は運転免許証との一体化や自治体との連携に向けたシステム仕様の統一について年内にも工程表をまとめる。システム開発を自治体任せにせず、国の司令塔を明確にして情報連携しやすい仕組みを整えることで、ようやく行政サービス全体をデジタル時代にふさわしい姿に作りかえる出発点に立てる。戦略の練り直しがようやく始まる。

 

 

 

 

花器           銘:襟を正した器

Kenichi Museum