この辺りの農家が持続化給付金(個人事業者は上限100万)を受け取ったという話は聞かない。
給付の条件はたった2つ。
・コロナの影響で売り上げが前年同月比50%以上減少の月が有る。・・・クリアー。
・今後も事業を継続する意思がある。・・・前向きな意思ではないが仕方なく・・・クリアー。
ほぼほぼ、ほとんどの農家は該当するはずだが。
何故に給付金を申請しないのかというと、
元々売り上げがゼロに近い場合が多く、売り上げの減少額(給付金額)が僅少の為。
そう、この辺の農家は例年がコロナの影響を受けたように常に悲惨な状況なのだ。
近所の同級生の婦人は今年お茶の出荷を諦めた、5反ほど有るお茶の出荷額はそこそこまとまった金額になるはずだ。
出荷出来なかったのは孫の世話を押しつけられて農作業を行えなかったからだ。
「学校が休みだからおばあちゃんの所へ行っててね」と。
コロナが無かったなら例年通り死ぬほど働いてお茶を出荷していただろう。
明らかにコロナによる影響であろうから申請すれば給付は受けられるだろう。
が、彼女は給付申請するどころか「今年は死ぬほど働かなくて済んで楽で良かった」と、コロナ様々なのだ。
普段から労働に見合ったものが得られていなかったのだ。
そう、既にこの辺りの農家は普段が地獄なのだ。
コロナどころでは無いのだ。
米作りの話を少し。
この辺りの農家は皆、本音を言えば、
「米作りやめたい」。「後継者も無く先は見えているよ」。
でも米作りをやめれない一つの事情が、「中山間地域等直接支払制度」という国の交付金制度によって一種縛られているのだ。
今日はその制度について集落で会議が行なわれた。
僅かな交付金を受ける為には集落の結束が必要になる。
今日は今後5年間この制度の適用を受けることを皆が確認し合った。
この制度の趣旨は、
中山間地域等直接支払制度は、中山間地の耕作放棄地の発生防止や解消を図り、適切な農業生産活動の維持を通して多面的機能を確保する観点から、平地に比べて傾斜地が多いなど農業生産条件が不利な農地について、集落等が維持・管理していく協定をつくり、これに従って5年以上継続して農業生産活動等の作業が実施されることを条件に交付金が集落等に支払われる国の制度です。
疲弊した山里の荒廃を防ぐ良い制度と捉えるか?
相互監視と連帯責任を課した米作りから抜けられなくする現代の五人組制度と捉えるか?
とりあえず、皆の意見に共通していたのは「最後の5年間になるだろう」であった。
そう、この集落は米作りだけでなく集落の存続自体が怪しくなってきているのだ。
持続化給付金どころではないのは事実だ。
花器 銘:眼差し
Kenichi Museum
