次なるドキュメント
2016年晩秋。
私の心も晩秋のようで、辛い冬の到来に怯えていた。
私はこんなにも弱い人間であったのかと始めて知った。
私の本性とはこんなものであったのかと、もう自信を喪失していた。
仕事では数多の難局を乗り切ってきたのに介護と主夫はそのようにいかなかった。
心が折れてしまう確率は五分五分だろうと予想していたが、その通りになっていった。
私に出来ることは未熟な介護と未熟な家事でしかない。
自信などが涌くはずが無い。
妻の元には大勢の介助者が訪れていた。
食事介助・入浴介助・訪問看護・訪問リハビリ等、日々入れ替わり立ち替わりだ。
更に通院・美容院・ネイルサロンへの通所(やがてこれらも訪問に切り替わる)が加わる。
そのような訪問者へ気を使ってしまうのが私の性分であり落ち着いておれない。
一日何事もなくのんびり出来る日は稀だった。
同じ様に家族を介護している人の記事を読むと、頑張っておられる方が多く、そんなことが出来るものかと自分の情けなさを棚に上げて落ち込む。
妻は壊れていく私をベッドで冷静に観ていた。
妻は死を覚悟しても冷静を保ち、私は死と遠い場所に有るのに何時も怯えていた。
やがて妻は在宅介護には私の限界を感じショートステイに避難するようになっていく。