次なるドキュメント

2015年11月

 妻はふらつきが増え杖を使用するようになった。

特に屋外歩行時、信号等で立ち止まったとき倒れそうな感覚を持ったようだ。

私は会社に早い退職宣言をしたが、その折に申し入れたカレンダー通りの働き方はなかなか出来なかった。

カレンダーの無い働き方が必要な職場環境は相変わらず健康体で存在しており、私一人が健康を損なう訳にはいかなかった。

仕事は薄っぺらい伝票として突然デスクに置かれる、肉付けして世間並に通用するレベルにして期限に納める。そんな仕事だ。

様々な約束事や各部所の思惑が表れては消え、消えかけては表れ、妥協点を見つけたり天を仰いだり、

人の応援なんぞは得られない、隣の席もその隣でも、皆が天を仰いでいるのだから。

皆が苦しんでもがいているのが職場の実情だった。

しかし私の心情は少々複雑だった。

この苦しい職場とお去らばするときが確実に迫っているのかと思うと、

何故か寂しいような気持ちにもなったのだ。