シリンダー側のエキゾースト口径は十分大きかった。
ところがチャンバー側の口径は小さく搾られている。
糞詰まりを起こさせる邪魔者が仕込まれ手溶接されている。
なんて残念なことをしてくれるのだ。
機械加工で仕上げた様子もない上手な溶接は360度見事に溶け合いくっ付いていた。
熟練の”解った”溶接工には悲しい仕事だったに違いない。
丁寧に溶接された邪魔者を慎重に削り取ってやる、予想外に苦戦をした記憶が残っている。
解放されたパワーによって日本仕様の華奢なアルミフレームでは心もとないものになってしまったが、
フレームまで手を入れる余裕も技量も無いからそのままにして理性を効かして乗った。
一昨年の12月初め手放してしまった。
売買契約書を書いているとき店長が手放す理由を尋ねてきた。
話したくない事情を話すと、
神妙な顔で「見舞金2万を上乗せします」と金額訂正をしてくれた。
私は無表情のまま振り返らずにその場を離れた。
今思えばあのときからおかしくなっていった。
不安に苛まれアルコールに逃げ精神を病んだ。
あれから1年3カ月が経ち、やっと、なんとか笑い顔も出来るようになってきた。
医療や介護のスタッフに家族のおかげだ。
そして今悟った。
”好きなことは止めるものではない”




