美貌の母親に連れてこられた娘。
”息をのむ美しさ” 表現はそれに尽きる。
私達も、楽園スタッフも、皆の関心は新入りの彼女に向かった。
彼女の容姿は楽園の中よりも、華やかな舞台の方が似合いそうであった。
この楽園に連れてこられた病理はいったい何なのか?
緊張を伴った会話から、次第におぼろげにその病理は見えてきた。
彼女の母親は自身の美貌を自覚しており、その自覚が娘の育て方に影響した。
娘にも美を要求するあまり、美以外のものは忘れ去られた。
成長した彼女は母親を凌ぐ”美の作品”となったが、世間はそれを拒否した。
彼女は母親によって病気にさせられ、楽園に放り込まれたのです。
でも、 楽園の皆にとっては華やかな彼女の存在はうれしいことです。
美への感受性や病への許容度は楽園の住人のほうが高いのですから。
ある日彼女が私の部屋に来ました。
「おぢさん。マッサージしてくれない?」
二つの戸惑いがあった。
一つはおぢさんと呼ばれたことへの意気消沈。
もう一つは若い女性へのマッサージ行為の俗思考だ。
しかし、 断る訳にはいかないような彼女の真剣さがあった。
彼女は今までと同じように、美貌の維持には肉体への奉仕を必要としている。
マッサージをしてあげないないとゆうことは彼女の精神に悪影響を与えてしまう。
楽園の治療法にマッサージは無いから私が治療するしか無い。
「OK、おぢさんはマッサージ上手だよ~」
私のベッドに彼女を寝かせて延々と肉を揉みほぐしたのです。
なんとも柔らかく手に伝わる感触が私の精神も揉みしだいたようです。
「ありがとうおぢさん、私綺麗?、私アムロナミエチャンみたいになりたいの」
当時テレビに露出していた歌手を信奉している。
私の手にはまだ柔らかい彼女の体の感触が残っている、
痩せぎす歌手の骨っぽい体よりその感触を好感した。
君の方がよっぽど綺麗だよ、又おいで。
受験勉強中のO氏が、「今度は私も手伝いましょうか先生?」と。


いえいえ勉強の邪魔になるでしょうから結構だよ。