フィクション?と問われたらノー
喫煙倶楽部の男性と良くお話をした。
氏は私より一回り程年上だった。
3回目の入園だそうです。
アルコールに魅了されているのです。
若い頃から洋食のコックを続けてきた。
自称、腕は良いそうでデミグラスソースの作り方を教わった。
氏が遭遇している問題はこうです。
腕利きのコックを必要とする場が少ないらしいのです。
身の周りを見て御覧、
「ご注文を確認させて頂きます、◎と、○と、□と、△・・ですね、
ご注文の品は、以上で宜しかったでしょうか?」
「もう一度確認を・・・」
”・・・うるさいわい”
サービスを履き違えた現実が横たわっている、世間はこうなっている。
レンジでチンして出てきた料理はどこも同じ味。
外食産業に詳しい訳では無いが、氏の陥っている状況は何となく予想が出来る。
美味しいものを造りたいと目指してもその場は少ない。
氏が目指すものと世間は大きく離れてしまった。
氏はアルコールの靄の向こうに光を見つけようともがき、
失敗して楽園に逃れてくる。
長年の味への探求心は地域の外食事情にも詳しく、
「美味いのはあそこやここや」と色々教えて頂いた。
娑婆に出てから女房殿と散策、流石に美味しい、
でも何故か長く持たずに店を閉めていく。
「あんた貧乏神やでもう行かんとき」女房殿が戒めてくる。
氏よ、残念な現実は緻密に設計され構築されていますぞ、
アルコールの靄は深いかも知れません。
氏と二人で外出許可を得て自宅へ送っていったことが有る。
独り身の氏は簡単な手料理を作って振舞ってくれた。
美味しかったですよ。