死後の世界を含めた広い世界観から、私たちが今生きている「物質世界としての人生」を俯瞰し、その在り方を問い直してくれる一冊である。
本書は、いわゆる「悪いことをすると罰が当たる」といった宗教的・教訓的なスピリチュアルとは一線を画している。

著者自身、もともとは物質世界こそが唯一の現実であり、死後の世界のような目に見えないものには懐疑的な立場にいた人物である。そのため本書は、最初からスピリチュアルを信じる人に向けた内容ではない。
催眠術を扱う中で、数多くの被験者から共通して語られる体験や証言に触れ、「死後の世界」という概念が単なる空想ではない可能性を感じたことから、本書の考察は始まっている。

そうした膨大な事例をもとに、死後の世界の構造と、現在私たちが生きている現生との関係性が整理されていく。そして最終的に焦点が当てられるのは、「では、今この人生は何のためにあるのか」という問いである。

本書を通して一貫して語られているメッセージは、現実世界は魂を磨くための体験の場である、という世界観だ。肉体や脳は感情や制約を伴う物質的な媒体であり、それをどう使い、どのような意志で生きるかという部分こそが魂の役割だと説かれる。
精神だけの世界では理屈として理解できることも、感情や制限を伴う肉体を持った現実世界では実践が難しい。その不自由さの中で葛藤し、選択し続けること自体が魂を磨く過程なのだという視点が提示される。

この世界観に触れると、私たちが今抱えている悩みや苦労も、偶然の不幸ではなく、魂が成長するためにあらかじめ用意した課題であったのかもしれない、と思えてくる。
そう考えることで、目の前の苦しみや葛藤の見え方が変わり、前向きに向き合う勇気を与えてくれる一冊である。