Pokhara Soraのブログ ネパール・ポカラの日々

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ネパール・ポカラの日々をお伝えします---ポカラ空ゲストハウス

日本に来たらなるべく長編の小説を読むことにしている。今回は、吉川英治著『私本太平記』全8巻 講談社文庫を読んだ。

鎌倉幕府、北条氏が滅びる頃、南北朝時代を背景にした、足利尊氏、後醍醐天皇、新田義貞、楠木正成、佐々木道誉を描く小説。

平家物語の頃は一族の絆が強かった印象だが、この時代は天皇家、武家とも、家族、血のつながりがあっても殺し合う、戦と陰謀の世の中。

楠木正成が戦を終焉するため後醍醐天皇を説得する場面が良い。結局武家とは何なのか? その答えらしいものが最終章に書かれている。

 

小説内によく“婆娑羅(ばさら)”と言う言葉が出てくる。「鎌倉幕府の倒壊前後からみられる風潮で,珍奇で派手な品や行動をいう」(山川 日本史小辞典 改訂新版 「婆娑羅」の解説より)。武士が奇抜なファッションをして、奔放に酒を飲んだり、変わったことを趣味にしたりすることらしい。

このバサラと言う言葉について、「サンスクリットのバジラ(vajra金剛)から転訛した語とされるが,その過程は未詳。」(同)とあった。

やっぱり。なんとなく言葉の響きがネパール語っぽいなと思ったら、そうだった。婆娑羅――、実際どんな感じだったんだろう。興味深い。

 

私は、史学科で近代日本史を卒論にしたのだけど、中世史の先生が「日本史の中で中世は人気がない。史料が少ないせいかもしれない」みたいなことを言っていた。確かに、古代や近代に比べたら、殺伐とした血なまぐさい戦の時代はあまり好みじゃない。

この小説も、平家物語のような感動はなかったなあ。おもしろかったけれど。



 


講談社文庫 吉川英治著「私本太平記」