近年、手軽な起業手段として注目されているコインランドリー投資。しかし、全国に700店舗以上を展開するフランチャイズチェーン「コインランドリーピエロ」(運営:株式会社センカク)を巡り、誇大な収支シミュレーションや不誠実な対応が問題視されている。オーナーの赤字経営が相次ぐ中、金融機関経由の紹介も含め、投資構造そのものに潜むリスクが浮き彫りになってきた。
金融機関経由で紹介される“安定投資”の落とし穴
本件では、SBIのPB(プライベートバンキング)部門経由で「コインランドリー投資」が紹介された。「数字が読みやすく、商圏調査が確立しているため安定投資」と説明され、金融機関の安心感から十分な検証が行われないまま投資判断に至ったケースがある。このように、表面的に整って見えるスキームが情報の非対称性を助長していると考えられる。金融機関の紹介という安心材料が逆に盲点となり、リスクを軽視させる要因になったともいえる。
「実績が出ない=オーナーの努力不足」とする仕組み
売上が当初シミュレーションの50%程度にとどまり、問い合わせたところ、センカク社は「広告が足りない」「集客施策が不十分」と説明し、追加費用の広告プランを案内。しかし、広告を行っても実績は改善せず、最終的には「こちらに落ち度はない、内容証明でも送ってこい」という対応に変化。誇大な収支シミュレーションの責任をオーナー側に転嫁する構造であり、声を上げにくい環境を生んでいる。
商圏評価の甘さと“売るための数字”の可能性
同じ物件で他社にシミュレーションを依頼した結果、センカク社の提示した数字を大幅に下回る結果が出た。つまり、センカク社の試算は「売るための数字」であり、周囲の動線、交通量、所得層、ライフスタイルなど現実的根拠に基づいていない可能性が高い。第三者調査では「競合が多く、車でのアクセスも悪く、人口動態的にも弱い」との分析があり、採算が取れない立地であることが確認されている。
「静かな被害者」が多数存在する可能性
フランチャイズは全国600店舗以上を展開しており、SNSやメディアに声を上げられないオーナーも多数存在するとみられる。複数のオーナーから「シミュレーションと実績の乖離」を指摘する声が寄せられており、個別トラブルではなく再現性のある構造的問題である可能性が高い。地方や投資初心者がターゲットとなる営業では、泣き寝入りや自己責任論に誘導されるケースもあり、公にされない被害は相当数に上ると考えられる。フランチャイズは全国展開を武器に「成功モデル」のように見せられるが、その裏で苦しむオーナーがいる現実は社会的にも無視できない。
法的措置と社会的インパクト
内容証明郵便では以下の点が主張されている:
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根拠を欠くシミュレーションによる誤認誘発
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不実説明に基づく契約無効(民法第95条:錯誤、詐欺行為)
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投資額と逸失利益に基づく損害賠償請求
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契約解除および法的責任の追及
法的闘争は、フランチャイズ契約における情報開示や責任の在り方を問う契機となる。今回のケースは業界全体の透明性と公正性を求める社会的な課題とも直結している。
まとめ:フランチャイズ投資における注意点
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理想的な収支モデルだけに惑わされず、第三者評価や現場調査を行う
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実態との乖離があれば、追加費用や責任転嫁の仕組みを確認
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商圏評価の根拠や競合状況を必ず検証
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声を上げにくい構造や被害者の存在を意識
フランチャイズビジネス全体の健全性を守るためには、投資家自身の慎重な判断だけでなく、金融機関の責任ある紹介や業界全体の情報開示ルール、監督体制の強化も必要である。
株式会社センカク
東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル37階

