生まれ向かう先は死

これだけは避けられない人生のルール

 

病院で仕事をして40年以上

ここにはそれぞれの人生の縮図がある

 

かつては立派だった校長先生

地元に尽力した議員さん

国のために日々訓練に明け暮れた自衛隊員

60年前は美人であったであろうご婦人

 

今やもう

「認知症の患者さん」で

一括りされている

 

最近は入院した途端に

帰る場所を失う

 

高齢者の居ない生活

快適

 

人間は1週間で生活サイクルが出来上がる

要介護者の居ない毎日

2週間が経つ頃には

子供達にとって親は

「厄介者」に変化する

 

だから

退院許可が出ると

家族が受け入れを拒否する

 

理由

 

部屋が

暑いから

寒いから

狭いから

 

2週間前まで

85年以上暮らしてきた家が

急に暑い寒い狭い

 

正直

笑ってしまいます

 

オイオイ

マジかよ

 

どんなに地位も名誉もある仕事に就いても

世間に恥ずかしくない子育てをしたつもりでも

 

最後は独り

他人の手に委ねられる結末に

 

私は連日

この様なご家族様と面談の機会を持ち

肉親の最後を決めるお手伝いを

させていただいています

 

退院しなければならない

家に帰ってきては困る

施設に入るお金が無い

 

お金が無いという人にはお金がある

使い道を渋っているだけなのは承知だ

 

説得

ひと月以上かかる時もある

 

「なんであんたの親の事で他人が苦労してんだよ」

 

ときどき

毒を吐きたくなる

 

仕事だから・・・・

 

 

核家族化が生んだ

「悲劇」

 

お国の偉い方々は

下々の現状を知らない

それこそ他人事であろう

 

悲劇の主人公にならないことを祈ります