宝くじで3億円当たったら僕達は自殺する
宝くじを買う時は
当たった場合のことを夢見て
さもそこに幸福が満ち溢れると期待してそれを疑わないだろう
けど僕達は自殺する
身の丈に合わない泡銭に押しつぶされて死を選ぶしかなくなるのだ
3億円当たったら
美味しいものは食べ放題
高級なグルメを毎日食べ漁る日々
でもすぐにそんな生活にも飽きて
高いものに慣れた舌は多少の食事では満足出来なくなり
以前は美味しいと感じていた様々な食べ物から何の魅力も感じなくなり
食事がどんどん楽しくなくなり
食べ過ぎてどんどん醜くなる身体
お金を出して高級ジムへ行っても努力は必要だが
もはやそんな根性は死滅しており
医療で脂肪を取り除くのにも限界があり
自殺する
3億円当たったら
仲の良い友人達としょっちゅう遊んで美味しいものを食べる
金ならあると再三奢るだろう
するとその時点から友人との関係性に歪みが生じる
「奢ってるのに」という意識が常に頭にこびりつく
やがて友人たちも奢られることに慣れ当たり前になり
感謝もなく態度は横暴になり
関係は破綻
仲の良い人間は一人も居なくなり
自殺する
3億円当たったら
異性からの疑似愛なんて買い放題
男性ならキャバクラ・風俗
女性ならホストにレンタル彼氏
街でナンパして金で釣っても良い
しかしお金を間に挟んだ愛の満足度は低く
繰り返せば繰り返すほどにその価値は落ちて
結局誰も自分を愛してくれることなど無いのだと知り
自殺する
3億円当たったら
家も趣味のアイテムも何でも買いまくれる
今まで満たされることの無かった物欲をどんどん満たしていく
喉から手がでる程欲しかったものは糸も簡単に手中に収まり
その瞬間「あって当たり前のモノ」へと成り下がる
沢山のモノに囲まれても空虚さだけが募り
自殺する
そう
だからきっと
宝くじで3億円当たったら僕達は自殺する。