ぽこです。7月19日、ニッポンの梅雨明けと同時に無事、メキシコより帰国しました。

 けんいちが書いていたような優雅な旅ではなく、宿泊はドミトリー(相部屋)だし、食事も屋台のタコス、学生になりすましてバスも半額で乗るなど、いわゆるバックパッカー旅行です。2週間だけの短い期間でしたが、忘れていたスペイン語を駆使しながらの自由旅行は、ホントに充実していました。

 予算はお土産、交通費すべて込みで1日5000円弱。ルチャリブレ(メキシコプロレス)も見たし、マリアッチも聞いたし、テキーラも飲んだし、けっこう観光にも力を入れて動き回っていました。メキシコの人たちも親切だし、ぼられることもほとんどないし、治安もかなりよくなっているので個人旅行にオススメできます。物価といい、雰囲気といい、EUになるずっと前のスペインみたいな感じです。


 それにしても、ニッポンは暑すぎ! 今回のメキシコは主に中央高原を旅していたので思ったより寒くて震えていました。何しろ首都メキシコ・シティでも標高2240mもあるので、軽いジャケットは必要です。コートやダウンジャケットまで着込んでいる人さえいます。それなのにTシャツだけの人もいるし、夏だか冬だかわかりません。

 ところで、今回のメキシコは実に14年ぶり

 1994年2月から1995年8月にかけて、私はロサンゼルスで買ったYAMAHAセローでラテンアメリカをバイクで旅をしました。いろいろあって途中で2度帰国したのですが、そのたびに拠点としたのが、メキシコ・シティにある日本人宿「ペンション・アミーゴ」だったのです。あれからどうなっているのか気になっていたこともあり、滞在するのが楽しみでした。


 「ペンション・アミーゴ」は日本人男性と結婚したメキシコ人女性がオーナーの安宿。ダンナが亡くなったあともそのまま日本人相手の宿として営業を続けていて、ラテンアメリカでは日本人宿の老舗といえる存在です。

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「ペンション・アミーゴ」はパティオを囲むように部屋が並んでいます。2、3階がドミトリー (一部個室あり)、1階はオーナーの住居とキッチン、リビング、図書室、洗濯場となっています

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今回もライダーがいました。ルチャ・リブレ(メキシコプロレス)を見に行った翌日、アミーゴとルチャごっこをしていました。ここは「ペンション・アミーゴ」の中庭。きれいに見えますが、実際はそうでもありません

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「ペンション・アミーゴ」のダイニングルーム。キッチンも充実しているし、近くに大型スーパーやコンビニがあって食材も安いので、長期旅行者は食事をシェアして作っています

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ドミトリールームは男女別。わりと広めの部屋に3~4ベッド&机があります。トイレ、シャワーは共同。ちゃんと熱いお湯も出るしトイレの水もきちんと流れます。右奥は韓国人のヒョンちゃん。日本語ペラペラですが、ここでさらに日本語力を磨き、さらにスペイン語を取得するべく長期滞在中


 アメリカから下って来た人にとってはラテンアメリカ最初の日本人宿でもあるし、シティの中心部、地下鉄駅からもすぐという便利な立地にありながらドミトリー1泊朝食付きで60~70ペソ(600~700円) という、おそらくメキシコでも一番安い価格のため、いつも20~30人ほどの旅人で賑わっています。前回と大きく雰囲気は違っていないけれど、旅人の多くはかつて私がそうだったように、20~30代前半。これから1年程度かけてラテンアメリカを旅する長期旅行者が中心です。アジアの旅人に比べて年齢層が高めではありますが、自分が確実に年齢を重ねているのを実感しました。もちろん中高年世代も少なからずいます。


 ラテンアメリカには、こうした日本人宿が少なからずあり、料金の安さと居心地のよさから、予定外に長期滞在(=「沈没」)してしまう人が後を断ちません。

 実際に北米からメキシコに下ってきて、南米を旅行する前にここに寄り、そのまま宿の管理人となって1年以上を過ごして旅を終えた人もいるし(大倉直氏「メキシコホテル」(旅行人)という著書に当時の旅人の話が詳しく書かれています)、現在の管理人代理、タケバ氏もバイク旅の途中でここに寄ったが最後、旅を止めてバイクを売り、10年以上もここに住み着いて日本とメキシコを往復しながら生活をしています。

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直ちゃんの著書。私が滞在していた当時、管理人をしていたので、知っている人も何人か登場しています


 また、現在二輪雑誌のカメラマンとして活躍する「ひげ大王」も、世界一周ツーリング中、なと7ヶ月も滞在。しかも宿代を安くしてもらうため、屋上にテントを張っていたというから、すごすぎます。私と同時期にバイクで旅していたOくんは、宿泊者相手に食堂を経営、自分の食費と滞在費を設けながら半年も滞在していたし、現在も沈没者多数棲息中です。
 「ペンション・アミーゴ」、恐るべし。旅人をそこまで堕落(?)させる理由とは、一体何? これは言葉で説明できることではないので、一度沈没生活をしてみたいという方、ぜひ行ってみてください。


 なお、メキシコシティには後発の日本人宿「サンフェルナンド館」もあります。個室が中心で1泊1500円以上するので短期旅行者がメインらしいのですが、なんと、そこにはしばらくあの亀田一家も滞在していたそうです。興味津々で見に行ったのですが、現在は市内のアパートに移ってしまったとか。残念でした。→そういえば、興毅が帰国しましたね。

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「来て見てラテンアメリカ」(1998年 凱風社)にも「ペンション・アミーゴ」 のことが書かれています


 メキシコの詳しいレポートは、不定期で随時発信していく予定です。とりあえずは帰国報告と「ペンション・アミーゴ」の現状報告でした。