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 シベリア東部、地図に名前も載っていない小さな村で、村に一軒しかない商店に立ち寄ったときのこと。私たちを見て、客のおばさんが一生懸命何かを伝えようとしている。何度言っても理解できない私たちのことをあきらめない。辞書を渡すと「昼食」という単語を提示してきた。おばさんは「昼食でも一緒にどうですか?」と誘ってくれていたのだった。
 この村には食堂もないそうだし、ありがたく招待を受けることにした。自転車に乗ったおばさんに先導されて行ってみると、シベリアの田舎の典型的な木造住宅。母屋と台所、物置がそれぞれ独立した建物で、裏庭には家庭菜園が広がっている。家庭菜園の隅にはトイレ。肥料にするのでしょう。ここで伝えておくがシベリアのトイレはかなりスゴイ。田舎では下水道も上水道もないので、水は共同井戸から汲んでくるし、トイレは穴を掘ってあるだけ。中国よりもスゴイと思う。中国は一応水で流すけどこっちは水がないのだから。
 トイレはいいとして、食べ物。シベリアではやっぱり食材が少ないので、だいたいどこの家も同じようなものを食べている。スメタナ(生クリーム)、木苺のジャム、キュウリやトマトのサラダ、パン、ボルシチなど。このほかにシベリアではキノコもよく食べる。バケツいっぱいのキノコを持って道端に立ち、ドライバーに売る人もときどきいる。
 このおばさん、どうも自分のおじいさんが中国人だったので、私たちに特別親近感を持ってくれたようで、おじいさんの写真を出して私たちに見せてくれた。あの、私たちは日本人なんだけど、なんて言ってもおばさんにとっては同じみたいだった。でも、とにかくうれしそうだったのでお役に立ててよかった。
帰り際、
「泊まっていかないの?」
とウルウルされてしまったが、この日はかなり疲れていたしシャワーも浴びたかったので(田舎にはない)、丁重にお断りした。
「それなら、せめて野菜をお土産に持っていって」
と裏の畑から採ったキャベツやらニンジンやらをごっそり持たされた。本当に親切心から言ってくれているのがわかったので、悪かったなと思いながら村をあとにした。元気にしているだろうか。
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(上)→昼食を招待してくれたおばさん。台所のテーブルに並べた食べ物
(2番目)→おばさんの孫、マキシマくん10歳。将来かなり期待できそう!
(3番目)→おばさんで出会った店。ロシアは商店を「マガジン」と言う
(下)→商店の中。玉の数がやたらに多いそろばんに注目