淹れたてのブラックコーヒーに、ミルクをそっとたらして、
混ぜないまま、そっと動向を見守る、幸せなとき。
細くて真っ白な糸のように表面をたゆたっているミルクに、
下から湧き上がるようにして、淡くクリーム色になったコーヒーが合流する。
熱いから、対流で自然と混ざるのだけど、ミルクを飲み込んでいく渦は一つじゃない。
いくつもいくつも、周りと関わりながら、不安定に影響を及ぼし合って、打ち消し合って増幅し合ってくるくるくる。
くるくるくるくる。
そして、徐々に。
徐々に、徐々に、一つの色へ。
一つの濃さへ。
完璧な存在になっていく。
完成したコーヒーを、未完成の私が、ほくそ笑みながら完璧に飲み干して、
ああ、世界で一番幸せなのは私だ。