双極カピパラパパです。
「すぐやる、かならずやる、できるまでやる」が俺のモットーだ。
「無能のジジイ」呼ばわりされるけどな。
大体、機械の指とか腕とか、回転体とか、いろんな機構の手段は、世界中の機械や、特許などを見て来て頭にしまい込んである。
特許は面白いね。グーグル・パテンツ(古いのはもちろん英語の手書き文書だ)などは現在の機械から関連番号を遡って行ったら、とんでもないものにたどり着くことがある。
例えば、人類初の動力を使って、有人飛行をしたライト兄弟の飛行機がそうだ。
これにたどり着いたときはびっくりした。
ライト兄弟が苦心した点などが克明に書かれていて面白い。
その前にドイツのリリエンタールがいて、翼のようなグライダーで飛んでいたが、墜落して死んだ。この特許も面白い。
1800年代後半の、今は滅んでしまったアメリカの産業的地政学まで思いを馳せることができる。
古い特許は温故知新の宝庫だ。その当時実現できなかったことでも、現代の機構、アクチュエータ、センサーに置き換えれば簡単に実現できるし、逆に古い機構は案外、他のことに転用できる。
昔は光学的センサー、ソレノイド、ステッピングモーターがなかったから、やわらかい、または透明体の有無を機械的な指で柔らかく掴みに行って検知していた。
ワークの有無を指みたいな機械的なセンサーで検知し、次の機構に増幅して伝達した。
これは機構の勉強になる。
こういうのは豆腐をつかむなど現代の機械にも応用できる。
とにかく、昔の機械は川の水車から動力を取って、それぞれの機械に動力を分配し、その単体の機械を凄まじく複雑なからくりで動かしていた。
スイスの山間に行くと、いまだに昔の工場をモニュメントとして残してある。
江戸時代の機械が動いていることもある。
そりゃ勉強になるわな。
俺は大企業に勤めていた40代の頃はかなりカリカリしていた。
頭の悪い若手と話していて、まったく無意識に手の方が先に動いて、持っていた紙の束でそいつの顔をはたいたことがある。
会議で、なかなか理解してくれなくて、意地悪な食い下がり方をした先輩にまったく無意識に「馬鹿野郎消えやがれ!」と怒鳴ってしまった。
誰もがアホに見えたし、アイデアは次から次へと湧いて出た。
俺は神になった。何でもできる。実現不可能なものはない。
そんな俺の実験室に、社長や会長もお忍びでよくやって来て、俺は調子に乗って、自分の開発している機械を示し、会社は50年安泰ですと、彼らを喜ばせたものだ。
双極性障害は突如パンクする。
俺は自責の念に駆られて、今まで手を上げたり、暴言を吐いたことが頭に蘇ってきて、激しいうつ状態になって入院した。
自死しそうだった。
さて、派遣になった今でも、押さえてはいるけど、その傾向は出る。
33歳くらいの兄ちゃんがいて、なんかのプロジェクトの担当になって、俺に困りごとを聞きに来た。
「カピパラさんにこんなことを聞くのも酷な話なのですけど」とその若いのは言った。
こいつは口の利き方を知らない。その言い方が失礼だったので、俺は怒った。
人にものを頼むときは「これを頼めるのはカピパラさんしかいないと思ったので聞きに来ましたと言え!」
俺は兄ちゃんから困りごとを聞いて、瞬間的に数例の対策案が浮かび、すぐさま3Dソリッドワークスで描いてアニメーション化して、誰でも動作がわかるようにした。
その会社はいまだに2D CADで、3D CADはその1台だけデモ的に入れたのである。
若いのは圧倒されたようだ。
そりゃそうだ、どんな要求にも瞬間で対応できるように、ドラえもんのポケットのように、頭にいろんな技をしまい込んでいるからな。
動吸振器を作って、共振を押さえたこともある。
これもやる前になかなか理解してくれなかったので、東京スカイツリーの例を示し、振動が収まっていく理論式を説明したけど、彼らにはそもそも数学がわからず困った。
そこの会社では新しいチャレンジはしない体質だった。50~60年前の機械をチマチマ改良しては市場に投入していた。
俺のアイデアは斬新すぎて黙殺されることが多かった。
今は企業のブランド力で何とか注文が入るけど、そのうち中国でまねされたら、一気に倒産するだろうな。
あんまり危機感がないな。
それと人材が悪い。
取締役執行役員とか若いのが多いけど、いかにも口だけで上に上がったような奴が多い。実際に手を汚していない。
5分、顔としゃべっている内容を聞いただけでどんな奴かわかる。
仕様とか、そんなことだけしゃべって、社内的に口で人をやり込めて出世したのだろうよ。
こういうのは、お前らの爺さんが海軍工廠でよろしくやっていたように、お前たちもここでよろしくやっていなよ。