カピパラパパです。
今日は新しい仕事が舞い込んだ。
工場で、そいつにかぶさっていた布が剝がされた時、設計のみんなからも、工場のみんなからも「おおっ!」というどよめきが起こった。
まるで、戦時中レイテ島沖で米軍の戦闘機の群れに急襲を受けて沈んだ戦艦みたいだ。
魚雷とか、爆弾とか大量に投下されたんだろう。
巨大なスピンドルが主砲に見える。
その機械の年齢は俺と一緒だという。
書庫から手描きの茶色に変色した図面が出てきた。
マニアには古文書として1枚1000円で売れると思う。
部屋のオブジェとして映えるだろう。
これをオーバーホールするのが俺の仕事になった。
ベアリングとか、Oリングとか、配線とか、ボコボコになり、錆びたフレームを改築する。
いろいろなアクチュエータ、ソレノイドバルブ、いかにも古臭くて巨大なものを現代風にリプレイスする。
古民家をリフォームするみたいだ。
設計担当は俺だが、実作業は工場の人と現合でやる。
俺に打ってつけの仕事だと思う。
しばらく楽しめそうだ。
もともと俺は、自分で旋盤、フライス、溶接などしながら先にものを作って開発してきた。
図面はうまく行ったら後で描くスタイルだった。
バランスも極座標を見ながら手感でやっていた。
俺はきわめて職人的な設計者だと思う。
俺たちの時代はそういう人が多かった。
こういう仕事は、それこそ今時、俺しかできない。