すみだ区民音楽祭2015
二日目の23日(日曜日)には、大ホールで女声合唱団《シューベルトコーア》の演奏を聴いてきました。
音の響きを良く聴こうと思い、二階席の最前列ど真ん中に陣取ってみました。
前日のコールプリマ同様、吉元貴弘さん編曲、指導、指揮の合唱団なのですが、こちらは人数が多くまた違った音色や表現を聴くことが出来ます。
シューベルトコーアはオペラや歌曲などの編曲版はもちろん、元は器楽曲の作品をも歌詞をつけて歌い、これまでにはなかった合唱表現の新たな可能性を追求しています。毎度大曲に挑んでいて頭が下がりますし、クラシックの名曲が新しく生まれ変わる瞬間をいつも楽しみに聴いています。
1.流浪の民
オーソドックスな合唱ナンバーもここの団にかかると表現力豊かで新鮮な魅力が。ダイナミクスの幅が大きく、クレッシェンドディミヌエンドの上手さはホントにゾクゾクしますよ!
「歌いさわぐ」の部分、広がりのある響き!そして最後、美しく丁寧にディミヌエンドしながらピアノの駆け下りる音を聴かせていくのが印象的でした。
2.ショパンのノクターンOp9-2
恋に憧れる乙女の気持ちが歌われています。
なんとハイレベルなアレンジなんでしょう。ソプラノのとても高い音を美しい音色でキープしてて凄いですね!ピアノが細かく動く所は、合唱はハーモニーをつけてあまり動かさずにピアノの動きを生かしているのが興味深いです。ピアノソロの曲としての良さと、合唱にして加わる新しい魅力のどちらも叶えているんですね。
3.ショパンのノクターン(遺作)
こちらは恋を失った大人の女性の心が歌われています。
こちらも、ピアノ曲としてのキラキラした魅力と、合唱が叶える広がりと色彩感のどちらも発揮されていて素晴らしい演奏でした。
クレッシェンドディミヌエンドを際立たせた、合唱ならではの表現が、減衰するピアノの音と絡まり合う美しさにうっとり。
藤村弘子さんのピアノ、いいんですよねえ。大好きなんです。最後の駆け上がって駆け下りてくるパッセージ、泣けちゃいました。
3.モルダウ
藤村さん、富松さんピアノ連弾
オーケストラの厚みを連弾と合唱で存分に表現していていつも感動します。何度目かの本番になり、まとまりとゆとりが感じられる演奏になりました。
☆ポルカのメリハリ感、スタカートのキレ、とっても場面にはまっていて良いです。チカラが程よく抜けた、いい感じに酔っ払ったような明るい村人たちと幸せな花嫁花婿が目に浮かびます。
☆月光の場面。E♭→A♭のピッチが正確(先月よりずっと良かったです)全体のハーモニーも安定していて安心して聴けました。幻想的な美しさに時間を忘れて聴き入りましたよ。これまでで一番良い演奏なのでは!
☆急流。激しい表現の中に丁寧さもあり、表現が成熟してきたように感じました。
そして、ピアノのお二方のダイナミックかつ繊細な演奏無くしてはこのステージ成立しませんよね、毎度素晴らしい演奏をありがとうございます!!
5.モーツァルト アイネ・クライネ・ナハトムジーク第一楽章
藤村さん富松さんの連弾で一曲。合唱はその間小休止です。ピアニストさんはおやすみなし!!でお疲れ様でした(~_~;)
弦楽合奏のイメージが聴き取れる素敵な演奏でした。
6.モーツァルト 交響曲第40番第一楽章
こちらも藤村さん富松さん連弾と、合唱で演奏される他では聴けないオンリーワン。
大変に難しい演奏に立ち向かっていて素晴らしいですね。展開部から先は、各パートの音がさらに難しいのではと思いました。ブリッジから再現部手前、メロディーの掛け合いとハーモニーが美しい弱音の中に表現されていて素敵でした。
7.フィンランディア
ピアノ藤村さん、キーボード富松さん村松さん、パーカッションには吉元さん指導のシニアアンサンブル団体から若園さんがサポートに入ってくださいました。
さて、一緒に聴きに行った大学の同級生Yちゃんも、「合唱なのに初めっから全部やる」ことに大変ビックリしていた様子(;゜0゜)
この曲も、冒頭のぶつかる暗鬱とした二つの和音から合唱も始まります。弦の音が合唱になっているような厚みと迫力。
「さあ立ち上がれよ」からの緊迫感も最高にスリリングでいいですね!キーボードとパーカッションのおかげでさらに本物感が増しますね。
フィンランディア賛歌はほぼアカペラから。透明で美しい!そこから次第に盛り上げる表現がすごく上手いのは、吉元さんならではの曲への愛ゆえですね( ´ ▽ ` )ノ
後半のクライマックス部分も迫力たっぷりで聴きごたえがあり、演奏が終わるとまるでオーケストラの演奏会を聴き終わった時のような満足感に全身が満たされました。
☆今回のシューベルトコーアは、流浪の民を除いてオール器楽曲アレンジのプログラムでした。合唱曲ではない音楽に新たな色を付けていく、というコンセプトはいつ聴いても素晴らしいと思いますし、演奏面では高度な技術を要求される厳しさも大いにあることでしょう。少しずつ、出来ることを一つ一つ積み重ねて今回の本番に結実させた皆さまの努力にも、惜しみない拍手を贈ります!!
素晴らしい演奏を今年も聴けて嬉しかったです。
本当にありがとうございました。