先日亡くなられた、やなせたかしさんの詩に、合唱音楽で名高い木下牧子さんが作曲したこの歌。
とても好きなんです。
昨日、友人のサックス奏者・吉田充里さんのコンサートに行ってきました。
四谷の絵本塾ホールというところです。
いつも聴く人の心にも新たな種をまいていくような、吉田さんの意欲的なプログラミングが素晴らしいと思います。
さて、近頃の吉田さんの演奏会では、ピアノの梶山ななえさんとともに、透明な歌声が魅力の佐藤悦子さんがご一緒されています。
今回は佐藤さんのうたを押し出したプログラムでしたよね~。
高橋悠治さんの「突然の別れの日に」「おやすみなさい」のような朗読を彷彿とさせる現代的な響きのうたから
吉田さんのたっての願い(!!)のユーミン「水の影」まで様々なタイプの曲を歌って、演奏会に彩りを添えていました。
今回、佐藤さんの歌ったうたのなかで、私が特に好きなもののひとつが、上にリンクを貼った「さびしいカシの木」。
山の上のいっぽんの
さびしいさびしい
カシの木が
とおくの国へいきたいと
空ゆく雲にたのんだが
雲は流れて
きえてしまった
山の上のいっぽんの
さびしいさびしいカシの木が
私といっしょにくらしてと
やさしい風にたのんだが
風はどこかへ
きえてしまった
山の上のいっぽんの
さびしいさびしい
カシの木は
今ではとても年をとり
ほほえみながら立っている
さびしいことに
なれてしまった
やさしいことばで語られる、憧れと痛み、そして諦念。。。
痛みを知っているからこそのやさしさとかね。
そこに、哀しみのかけらも感じさせない、さわやかな風が吹き渡っていくような曲が付けられているのです。
ななえさんの弾く前奏が流れてきて、カシの木の物語が始まります。木下さんの曲って合唱曲もそうだけど、前奏から物語を感じるんですよね。
そこに佐藤さんのようなすっと入り込んでくる声質で歌って下さると。。。なんだろう、この胸の痛みは。
3番は詩の音節の抑揚に添うようにメロディを変えてあり、ピアノ伴奏も変えているのが素敵なんですよ。
ああ、「さびしいことに なれてしまった」、と初めて歌われる部分で、私はいつもちょっぴり涙を拭うのです。
☆ネット上には様々な演奏動画がありますが、色々見てみて比較的イメージに近いなと思った演奏を貼りました。
「さびしいことに なれて」しまうって。。。どんな思いでやなせさんはこの詩を書いたのか。
あれっ、吉田さんの演奏会の話題で、こんなに吉田さんのことを書かないのも珍しいかもしれない。。。。ごめんなさいね。
吉田さんのサックスの音色では、渾身の「春の海」はもちろんだけど。
「三月のうた」でメロディとってる時が心に残ってます。
何かを思い出すような、大切な宝物を箱から取り出すような印象、ですね。
出演者のみなさん、お疲れさまでした!!