人は皆、母親の血に抱かれて生まれる。
頬にかかるモノに、既視感にも似た暖かさを感じた。
怒りに我を忘れて、自力では立つこともできなくなった男に拳を振り下ろし続けていた筈なのに、どこか冷静な自分が
脚ものから冷えていく己の身体を温めろとでも言っているかのように、男から吐き出される“暖かさ”を欲した。
俺は、冷静に、“ヌクモリに包まれる”ことに悦びを感じていた。
車のブレーキ音。
鈍く響く不快音。
女の叫び声。
一人ではどうすることもできない俺に、手を差し伸べてくれたのはいつもリックだった。
快感を貪ることに夢中で、周りの見えなくなった俺を引き戻してくれたのも
----------------------------リックだった。
真っ赤に染まったリックの身体は、温かさを失い、道路脇に捨てられた玩具の様に動かない。
ヌクモリを与えてくれていたモノが、身体に纏わりついて、全身から熱を奪い取っていく。
俺は・・・
「敦賀さん!」
じんわりと包まれる暖かさと、耳に飛び込んできた彼女の声。
「大丈夫ですか?!どこか具合でも?」
「いや、大丈夫だよ」
「む~~~~~~~~~~~。敦賀さんはそうやっていつもいつも一人で抱え込みすぎなんですよ!少しは周りに甘えることも大事ですよ!!」
「・・・それは、君も含めて?」
「えっ、そりゃ、頼りないかもしれませんけど、私だって何かのお役には立てるかと・・・////」
「・・・・・・クス」
「ちょっ!なんで笑うんですか?!!///」
「いやいや、頼もしいなと思って」
「ムキーーーーーーーーーーーーー!!絶対思ってない!そりゃぁ、社さんみたいに有能じゃないし、社長さんみたいに誰も思いつかないような大技とかできませんけど、私だって私だってっっーーーーーーーーーーーー!!」
「ハハハハ。最上さんは最上さんのままで良いよ。君にしかできないこと、たくさんあるじゃないか」
「ふえ?」
包まれた手に、もう一方の手も添える。
ぬくもりがじんわりと伝わってくる。
心までぬくもりに包まれる。
「あ、あ、あのっ、つるがさ・・・///???」
人は皆、母親の血に抱かれて生まれてくるけれど、生まれた子どもは、人の腕に抱かれ、人のぬくもりに包まれて愛を得る。
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お久しぶりでございます。
唐突にわけのわからないものをブッこみまして候。
昔何かで、「親は我が子が他人の血で汚れることを望まない」とかなんとかってセリフを読みまして、確かに望んじゃいないだろうけど、そうならざる終えない人もいるわけだし、汚れたいと思って汚れるわけじゃないべとか。素直に受け止めない自分がいましてね。
自分の頭の中すらよくわからないのに、他人の心理なんてもっとわからないけど、優越感なんてのも一種の快楽の一つで、一度覚えた快感はなかなか忘れられるものでなく、寧ろまた味わいたいと感じるのが一般的らしく、そうなってくると普通分娩にしろ、帝王切開にしろ、母親から生まれる際には血に塗れるわけで、それが深層心理に刻まれてたら、「他人の血を浴びるのが快感なんですぁ」なんて人もいるのかな~~~~~~~な~~~~~んてな~~~~~~~~~~~。