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2014年 3月 14日 12:33 JST 更新
米で住宅地周辺に核兵器級の廃棄物埋まっている可能性高まる
By JOHN R. EMSHWILLER


Ross Mantle for The Wall Street Journal
ペンシルペニア州アポロ近くのNumecの跡地にはがれきが散乱している

 米ペンシルベニア州にある放射性廃棄物の処分場に関する連邦政府の報告書が公開された。政府の廃棄物クリーンアップ(除染・除去)計画の妥当性を疑問視するもので、住宅近くに位置する同処分場に核兵器級のウランが埋められている恐れが一層強まった。

 13日に公表された原子力規制委員会(NRC)監察官事務所の報告書によると、シャロー・ランド処分地(SLDA)に関する過去の記録が不完全なため、「SLDAに何が埋まっているか、またその正確な位置を確信を持って」判断できないことが分かった。

 何十年も前に行われた廃棄物の地下への埋め立てが、連邦規則にのっとって行われたか否かについても同様で、判断できないという。報告書は規則が破られたかもしれないことを示唆する「非直接的な証拠」しかないとしている。

 報告書によると、入手できた証拠(2011年に同処分場を部分的に発掘して判明した証拠を含む)から、NRCのプロジェクト責任者は「既存」の除去作業計画に「大幅な修正を加える必要があろう」と結論付けたという。このNRC関係者は、より危険な核兵器級のウランが埋まっている可能性が従来予想していたよりずっと高くなったと述べている。

 この監察官事務局の報告書は、ロバート・ケーシー上院議員(民主、ペンシルベニア州)からの要請で出された。同議員は同州パークスタウンシップにある17万8000平方メートルの処分場で2011年末に廃棄物の発掘作業が突然中止されたことを受けて、報告書を要請していた。

 同処分場については、廃棄物を堀り出して別の場所に移送する除去計画が長年かけて立案され、陸軍工兵隊(ACE)が指揮する連邦機関が2011年に除去プロジェクトを開始した。しかし発掘は開始後、数週間で中止された。ACE関係者は、処分場の請負業者が除去の安全手順に違反したほか、予想外に大量の「複雑な物質」に遭遇したことを理由に挙げた。それ以上の詳しい説明は得られなかった。

 掘削作業中止を受け、連邦政府はSLDAに関する一部の情報を機密扱いにした。「特殊核物質」の安全に関する規則に基づく措置だった。特殊核物質には、原子爆弾に使用可能なプルトニウムとウランのアイソトープ(同位元素)が含まれる。報告書によると、機密指定は国家安全保障会議(NSC)が12年6月に行った。

 ACEは作業中止後、処分場の除去計画の見直しを行っていることを明らかにした。見直しは今も続いている。ACEは廃棄物の発掘と除去に10年以上の年月と、最大5億ドル(約509億円)の費用がかかる可能性があると述べている。5億ドルという価格は、当初のACE予想の10倍以上に及ぶ。

 ケーシー上院議員は13日、「この報告書で裏付けられた記録の不備はあまりにひどく、SLDAに対するNRCの監視に重大な懸念を生じさせる」と述べ、「報告書はまた、以前の計画が処分場に埋められている廃棄物の量を大幅に過小評価していたことも裏付ける」と指摘した。同議員は、連邦政府にさらなる回答と、迅速な除去を求めていくと述べた。
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 ACE広報担当者からのコメントは得られていない。NRC広報担当者は、「われわれは報告書を受け取っており、適切な追跡調査を行う。われわれのコメントは直接上院議員に送られる」と述べた。

 今回の監察官事務局の報告書は、原子力に関する長い物語の最新章だ。1950年代終盤に同処分場から近いペンシルベニア州アポロに核物質・装置連合社(Numec=Nuclear Materials and Equipment Corporation)が創設されたときにさかのぼる。今はないこの会社は業務の一環として、連邦政府のプロジェクト向けの核兵器級のウランを

取り扱っていた。Numecの2つの施設の廃棄物はSLDAに埋められた。連邦政府の記録によると、埋め立ては1970年ごろに中止され、2つの施設はその後取り壊された。

 この報告書の一部は、地元の活動家であるパトリシア・アメノさんの主張を裏付けている。アメノさんは廃棄物の発掘と移送を求め、四半世紀戦い続けている。アメノさんはNumecと処分場に関する10万点を超える文書を集め、政府は埋められた廃棄物を過小評価してきたと長年主張している。

 アメノさんと、SLDAをめぐる彼女の戦いについては、ウォール・ストリート・ジャーナルが昨年11月に取り上げた。米核兵器開発計画の放射性物質の遺産に関する一連のリポートの一環だった。

 NRC監察官の報告書によると、アメノさんはNRC監察官の調査に文書(歴史的な電子ファイル18万5200点)を提供した。NRC監察官はまた、NRCから入手した500点の歴史的文書も精査したという。