夕食を一緒にするようになって気を許したのか、Sは徐々に自分を見せるようになってきました。最終的には、精神的におかしいのではないかとこちらが恐怖心を抱くレベルになるまでエスカレートするのですが、その一端は、異常な食行動から始まりました。

異常な食行動とは主に下記です：

水道水に対する極度の懸念
皿に対する猜疑心
肉を食べない・油をとらない（亜麻仁油をのぞく）・バイオ食品への傾倒
にんにく

まず、１番（水道水に対する極度の懸念）ですが、Sは水道水は何が含まれているかわからないから信用していない、と常に言っていました。飲用水は微量でも有毒成分があるから信用してはならない、と。

Sは自身の飲用水はスーパーで買ったペットボトルの水を飲んでいました。

そして、歯磨きのための水や、飲用以外の目的で使う水は、アウトドアの水を飲料水に変えられる携帯用のアウトドア浄水器（約１万円したそう）を常に使用していました。さらに、水への恐怖から、シャワーには１週間に１回ほどの頻度しか入らず、シャワーを浴びる際はシャワーヘッドを自分のろ過機付きのシャワーヘッドに取り替えておりました。

↑右上がSのペットボトル。Sの切りたて生ニンジン以外はすべて私の手料理。

10月後半あたりから、Sはその異様な水に対する懸念を私にも強要するようになっていきました。「お米は、この水を使ってください」、「野菜は、ろ過機の水で洗ってください」（濾過されるまで待つのに長時間かかる）等。そもそも、私は自分のために作っている食事を彼女におすそ分けしているという体だったのが、徐々に、自分に食事を分けてもらえるのが当然というように、Sはdemandingになっていきました。

次に、２番（皿に対する猜疑心）。１番と関連しますが、食洗器で現れた皿、つまり水道水で洗われた皿を使う前は、必ずくんくんと臭いをかぎ、アウトドア浄水器の水でゆすいでおりました。きゅっきゅっと素手でちょろちょろと濾過水を出してこすっているのですが、私からすればそっちの方が不衛生に見えました。

３番（肉を食べない・油をとらない（亜麻仁油をのぞく）・バイオ食品への傾倒）。

「父親ががんになったので」という言葉を繰り返し、健康志向の食生活を心掛けていると言っていました。ただ、調理方法を知らないので、私からすれば、意味不明な組合せで健康志向を目指しているようにしか見えませんでした。例えば、ターメリックパウダーをふりかけ替わりにご飯に掛けたり、しらたきと納豆を混ぜたり、油を使わないように、肉以外の物で食事を心掛けていましたが、ミスマッチな食の組み合わせに非常な違和感を覚えました。

極めつけは、

牡蠣を調理すると言って、のぞいてみたら、殻ごと（開けてもない）、鍋に入れてそのまま加熱していました。料理への無知と、健康志向が相まって、ぞっとするような調理方法に走っており、このあたりから、Sの異常行動に恐怖を覚えるようになりました。

４番（にんにく）は、3番ともリンクしているのですが、Sにはにんにくに解毒作用があると信じており、生ニンニクを大量に消費するという習慣がありました。そのため、常にSは異様な体臭をまとっていました。失礼に当たるとおもい、指摘するのはずっと我慢していました。しかし共有のバスルームを使うときは、Sが使用した後にこっそり換気をして使っておりました。

ある日、10月の終わり頃、私がいつものようにパスタを作ってあげると、Sが大量の生ニンニクをその上に振りかけて食べ始めました。

この時点で私は、自分のパスタが、こんな食べられ方をされてはたまらないと、我慢の限界を迎えました。そのころになると、水についての要求も益々頻繁になってきており、Sとの食事を億劫にに感じるようになってもいました。

しかし、これらの食行動は全てのはじまりにすぎませんでした。

11月に入ると、Sの異常行動は食行動以外にも移って行ったのです…

狂怖同居人記録③