戻ってすぐ、ある一人の患者さんが亡くなった事を聞かされた。
一般的に「歯科医師」と言うと町の歯医者さんを想像されると思うけど、医者の中にも内科や外科などに別れるように、歯科の中にも色々分野がある。オレのいる所は口腔外科。
担当する病気の一つに癌がある。
日本では頻度はほかの部位に比べ少ないけど口の中にも癌はできる。
勿論死ぬ事だってある。
オレ自身、何人もの患者さんが亡くなった事を経験している。
ほとんどの方がお年を召された方だけど、中には年下の人もいる。
半年以上前に、オレが担当の患者さんが亡くなった。
とてもいい人だった。
どんなに苦しくても周りへの配慮を忘れない人だった。
亡くなる直前まで奥さんや、家族の心配をずっとしていた方だった。
オレや他の担当医だけじゃなく、担当じゃない医師、スタッフみんなが、この人を助けたいと心の底から思っていたと思う。
家族の懸命な支えや本人の強い精神力もあって苦しい治療に耐えて下さった。
だけど、残酷な現実は変わらなかった。
患者さんの最期。
家族が辛いのは勿論だけど、医療者側も辛い。
だけど、その感情を静かに押し殺して、耐えなくてはならない。
家族が悲しんでる横で一緒になって泣くわけにはいかない。
家族の心のケアも大事な仕事。
さらに、
患者さんは一人じゃないから、他の患者さんの前では平然としてなきゃいけない。
ひたすら感情を押し殺して。
簡単な事じゃない。
ダメージは大きい。
その患者さんが亡くなる半年くらい前に、ある先輩医師に、「患者さんや家族と目を合わせちゃいけない」と言われた。どうしたって気持ちが入っちゃうと最期の時に傷つきすぎてしまう。感情移入しすぎない為の一つの方法。
その時はピンと来なかったけど、今はよく分かる。
なんかヤだけど。
患者さんの死に耐えられなくて辞めていく人も結構多いらしい。
その患者さんの時も、他の人の時も泣かずにすんだ。泣きそうにはなったけど。
今日亡くなった方も長い間入院してた方で、医局員なら知らない人はいない。
病院に戻ってきた時には誰も泣いてなくて、みな仕事をしていた。
感情を押し殺して。
ホントはこんな暗い記事書きたくなかった。
癌は、早期発見が何より大事です。
この記事を通して少しでも関心が高まっていけば…と思って書きました。
のツッコミ担当になりました。


