外出自粛の連休、皆さまいかがお過ごしですか?

さて、今回は久々にアカデミックな話題を取り上げました。

 

我々が日頃、何も疑わず正しいと思っている事柄にも、意外に正しくない物が多いのです。

今回はそんな話をしてみますが、今日は色の話です。

 

そもそも色と言う物体は無いのですが、色の三原色というのをご存じだと思いますが、それは一般には絵具などを混ぜ合わせる時に言われる「減法混色」の三原色で、学校では「赤・青・黄」と習った記憶があるのですが、これは大いに曖昧な正確性を欠く表現です。

 

これは日本の古代からの文学的な表現によることが多いのですが、「あか」や「あお」という日本語の表現は非常に幅が広いのです。特に「あお」には、青以外に碧、蒼、藍などの漢字があてはめられ、現在で言う緑色までも「あお」の範疇であるのです、と言うか古来の「あお」はそのほとんどが緑であって、今で言う青は、「あい(藍)」と言う表現が用いられたようです。。

 

「山々の木々が青々と茂る・・・」この青はブルーではありませんね。また大相撲の土俵の周囲にある房の青房も実は緑です。

 

このように古代の「あお」はブルーでなくグリーンであったのです。ですから信号灯も「青信号」と言いますね。英語ではブルーではなくグリーンと言います。

 

絵具の三原色は減法混色と言われ、「シアン」「マゼンタ」「黄」なのですが、これは最近のプリンタのインクで馴染み深いと思います。マゼンタは赤紫、シアンは青緑と言える色ですが、曖昧な日本式表現では当然「赤」とか「青」の範疇に入るのですが、教育の現場ではこのような曖昧な表現で教えることは非常に問題があります。

 

我々にとって赤と言えば通常はマゼンタでは無く、青もシアンではないからで、子供に赤鉛筆持ってきてと言ってマゼンタの鉛筆を選んで持ってくる子はまずいないでしょう。

 

 

光の三原色は、加法混色といって先ほどの絵具の三原色の補色関係にあります。(上の図で上下の色が補色関係にあります)

 

理論的には絵具の三原色を全て混ぜると黒になるのですが、実際には各色材の濃度や構成物質の関係で黒にはならず濃い灰色になります。

 

光の三原色はステージの照明などでよく使われますから記憶のある方もいると思いますが、赤、青、緑のスポットライトを重なるように照射すると白色光になるのです。

 

このようなことは色彩検定やカラーコーディネータ検定のテキストに詳しく載っていますからご興味のある方は本を探すとよいでしょう。

 

 

あと、「水」は無色透明だとほとんどの方が信じていると思います。海が青いのは青空の反射だと片づけてしまう教師もいることに、非常な危機感を感じると、大学教授の父はかねがね言っています。空が青いのと海が青いのは根本的な理由が異なるのです。

 

結論からいうと水の分子は赤色の光を僅かに吸収するので実際は無色でなく先ほどの例で言えば赤の補色である「シアン」、つまり青緑色をしているのです。

 

この写真は同じ紙コップに水を満たした物とカラの物を並べて撮った物ですが、この程度の分量でも左の水の入ったコップは明らかに淡い水色が感じられます。

 

海が青いのは大量の水が存在するからであって、青空の反射や水中の微粒子による青色光の拡散も、もちろん青く見える要因ではあるのですが、水分子自体に色がある事を知っておかなければなりません。

 

WEB上の検索では、正しくこの事を説明していない、あくまで水は無色であると言い張る公的なサイトの記事も見受けられますから呆れます。

 

白いホウロウの浴槽に水を入れたら、青かったので何か薬品でも混じってるのではないかと水道局に苦情を言った御仁がいましたし、それに回答する水道局も照明の反射とかで片づけてしまったのには恐れ入りました。無知も甚だしいのです。

 

ウィキペディアなどを参照すると正しい記述がありますから、これもご興味あればご覧になって下さい。

 

色に関しては形や重さなどという要因と異なり、実体のない、光の反射と吸収による現象なので厄介であると言えます。