日本スピッツが登場する本の記録として、こちらも残しておきたい一冊です。
宮部みゆき著
『我らが隣人の犯罪』
文春文庫 み17-1
1993年1月9日刊
この作品の表題作では、中学1年生の主人公・三田村誠が、家族とともに念願のタウンハウスへ引っ越してきます。ところが、隣家で室内飼育されているスピッツの「ミリー」の鳴き声に、家族は毎日悩まされることになります。そこで誠と妹の智子は、家によく遊びに来る毅彦おじさんと一緒に、ミリーを“誘拐”するという行動に出るのですが……。
収録作は表題作のほか、
「この子誰の子」
「サボテンの花」
「祝・殺人」
「気分は自殺志願」
を含む全5篇。
犬種資料や専門書とはまったく違いますが、こうして一般文学の中に日本スピッツ、あるいはスピッツが自然に登場してくるのは、とても興味深いことだと思います。犬が単なる背景ではなく、物語の空気や近隣関係の緊張感を動かす存在として描かれている点も印象的です。
日本スピッツそのものを詳しく語る本ではありませんが、「当時の日本の暮らしの中で、スピッツがどのように存在していたのか」を感じ取れる一例として、こうした文学作品もまた小さな資料になるのかもしれません。







