ついに、新しい車の納車が決まった
明日の朝一番で車をとりに行き、
その後のドライブ計画もあった。

男は、引き渡す車の掃除をする予定でいた。
40を過ぎた冴えない男だ。
これと言って趣味はなく。
車にお金をかけている訳でもない。
しかし、新しい車にワクワクしていた。

まずは、荷物を出して掃除だ。
すべての荷物を出したと満足していたら
助手席の後にあるポケットを思い出した。
めったに見ない場所から、古いノートが出てきた。
見覚えのあるような無いようなノートだった
なんで助手席の後ろにノートが?
ノートの表紙は、ちょっと乙女チックな感じであった。
男には到底男には似つかないノートであった。

今の車は、フルフラットになると言った理由で買った。
初めての新車だった。
一泊車内旅行をしたい若さがあった。
二人までしか乗ったことのない車。
今は、車に誰も乗らない状態で
一人のカーライフを楽しんでいたのだ。

ノートの中を見てみると懐かしい字が並んでいた。
その字は、この車に初めて乗せた彼女の字であった。
中身は、2人の交換日記みたいなものであった。
なかなか仕事の都合で会えなかったとき、
メールや電話で話す傍ら
「ノートに色々書いてきたよ」
と彼女の一言から始めたノートだった。

最初の頃は、メールなんかでは書けない想いを綴っていた。
しかし、最後には文句ばかりだった。
見開きにいっぱいに「ば~か」で終わっていた。

ちょうど40歳の誕生日に
彼女からメールが来ていた。
甘えん坊で、会える時間が終わる頃に、わがままを言い、いつも喧嘩していた。
そんなことを楽しむ余裕が仕事でなくなり、会うことも減り、すれ違いだった。

彼女との時間は、楽しかった。
ラーメンを食べに行くのを希望した彼女。
車内一泊旅行など思い出した。
些細なすれ違いを消化できなっかた若さが可愛く思えた。
あの時、こうしていたらと色々な思いもある。
少し落ちつつある今なら、どうなるだろうか?
彼女のわがままを受け入れる包容力があるだろうか。
色々な想いが沸いてきた。
どうしているのか。

男は、そのノートを助手席におき、他の片づけを終わらせた。

明日は、新車にまた娘を乗せることができる。
離婚して、制限の中で会っていたが
なかなか会う時間がとれずにいた
二十歳迎える娘
お祝いを喜んでくれるだろうか 
と思う男であった。