家に帰ると1通の封書が届いていた。

小学校3年生の時の担任の先生から。

俺は年賀状と個展の案内状を小学校の頃の先生にも今でも送ってて
先生の方からも毎年頂くんだけど、
これも一応そのお返事らしい。

ただ封書とは珍しい。
中を開いてみると出てきたのは1枚のスケッチ。


羊の皮をかぶった狼のフリをした羊のような山羊、だけど熊-谷村君



俺が小学校3年生の頃に書いた絵だ。

当時、授業の前に10分ほどクラスメイトをクロッキーする時間があった。
その時に描いた絵を先生はとても誉めてくれて
「加賀君が良ければ、これ預かっててもいいかな?」と言われて、
その後中学くらいの時に先生のお宅にお邪魔したら
額に飾ってあったのを覚えてる。

あれから約30年。
先生も86歳になられたそうだが、
この絵をずっと大事に保管してくれていて、
いつか俺に返そうと思ってくれてたようで
今回、寒中見舞いに添えて「幼い頃の記念に」と送ってくれたのだ。

「何事もよく頑張っていた頃の思い出が湧き出てくれば」
と書き添えられていた。

全然特別な絵でもない。
日々の授業の一環でサインペンで描いた友人の絵。
手に持ったボールも丸くはないような拙い絵なのに
よくぞ30年も・・・

考えてみればこの絵とかを誉められたあたりから
絵や美術に興味を持ち、その結果写真にも出会い今があると思えば
ひとつの原点と呼べるものなのかもしれない。

俺を図に乗らせた原点でもあるのかもしれないけれど
このヘタクソな絵が妙に愛おしく
と同時に86歳になった先生にも会ってみたくなった。
お礼がてら顔でも観にお邪魔してみようかな。