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夏が来てしまいましたね

梅雨明け宣言こそありませんが



皆様、体調管理にお気を付け下さい





さて、

脳の活動を調べる方法の一つに

頭蓋骨を取って

細い針電極を脳表面から刺し込んで

個々のニューロン活動を記録する、

ユニットレコーディング法があります



以前にも触れたことがありますね


拙ブログ『脳の活動はどうやって調べるの?(1)細胞外記録法』



その実験風景の様子を復習も兼ねながら

簡単に書いてみましょう





ニューロン(神経細胞)は、

樹状突起という所で神経情報を受け取り、

細胞体がその受け取った情報を元にして

次のニューロンに情報を送るかどうか

を判断して、

軸索という長~い神経線維が

情報を送るのでしたね



脳の中では、細胞体と線維が

無秩序に配置されているのではなく、

細胞体のある領域が決まっています



まず、

大脳の表面近くに数mmの厚さで

細胞体が集まっている大脳皮質という

層がありまして

これを灰白質と言います



それから、

脳の深い所に細胞体が集まった領域が

いくつかありまして、それらをまとめて

大脳基底核と言って、ここも灰白質です



脳のそれ以外の場所は

軸索という神経線維が張り巡らされ

ていまして、これを白質と言います



ちなみに、私が調べている脳領域は、

大脳皮質の前頭前野と

大脳基底核の線条体です



さて、

実験風景はどのような感じでしょうか?



まず、

ラットなどの実験動物に

何らかの作業を覚えてもらいます



それから、

その作業中の脳活動を調べる実験に入り

脳の各領域の役割を調べます



調べたい領域の頭蓋骨を取って

脳を覆う硬膜の上から

細い針電極を刺し込んで、

個々のニューロン活動を記録します



ユニットレコーディング実験で

針電極から記録されるニューロン活動は

細胞体で発せられる、

大きな電気信号の活動電位です



実験するときは、

針電極からの電流振動をスピーカーにも

つないでいまして、

針電極が活動電位を拾うと

バリバリと音が出るようにします



オシロスコープの画面にも

針電極が拾った電気信号を

表示していますが、

微妙な波形の情報は音として

聞いた方が分かりやすかったりも

しますので、このようにします



脳の実験をはじめたとき

ニューロン活動を示すバリバリという音を

スピーカーから聞いたときは

とても感動したのを覚えています




さて、

脳を覆う硬膜から針電極を刺し込んで

先端が脳の中に入ると

最初はバリバリと音がよく出ます



これは、まず、

細胞体の多い大脳皮質を通るからですね



針電極を深く刺して行きますと

スピーカーから音が出なくなります



針電極の先端が、大脳皮質を抜けて

細胞体があまりない白質に

達したからです



針電極をさらに深く進めますと

また音が出始めます



これは、針電極の先端が大脳基底核に

達したことを意味します



事前に、その動物や被験者の脳の構造を

調べておいて、それに従って針電極の

刺す場所や角度や深さを調節するのが

理想的ですが、

脳の構造は大体分かっていますので

針電極を進めながら様子をみていると

経験的に分かるようになります



脳の構造は大まかには一緒ですが、

個体によって微妙に違いますので

実際にどこから記録したかを

確認しないといけません



活動の様子を記録したニューロンが

脳の構造のどの位置なのかを確認する

にはどうしたらいいでしょうか?




次回は、その確認の仕方から。




(おしまい)




文:生塩研一




お読みいただきまして、ありがとうございました。
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