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前回は、

学習直後の睡眠が、学習やシナプスに

どのような効果をもたらすか

を調べた論文の紹介で、

スパインの話が出たところまででしたね



拙ブログ『練習後すぐに寝ると、新しい技が身に付きやすい(1)』



論文はこちら↓


Yang G, et al. (2014)
"Sleep promotes branch-specific formation of dendritic spines after learning"
Science 344(6188): 1173-1178.





では、その続きを。。




受け取り側がスパインになっている

シナプスでは、グルタミン酸などの

興奮性の神経伝達物質が放出され、

受け取った側のニューロン内では

電位がプラスになります



一方、

スパインではなく、樹状突起の幹や

細胞体にシナプス結合している場合は

GABA(ギャバ)などの抑制性の

神経伝達物質が放出され、

受け取る側のニューロン内では

電位がマイナスになります



シナプスが増えたかどうかは

スパインが増えたかどうか

を調べたらよいということになります



では、

スパインはどうやって調べましょうか?



以前書きましたように

学習でシナプスの伝達効率が変わるとき

カルシウムイオンがニューロン内に

流入しますので、

それを計測すればよいことになります



拙ブログ『記憶の分子メカニズム? LTP概略』


拙ブログ『神経情報伝達をスムーズに LTP と NMDA受容体』




そこで、

カルシウムイオンがあると蛍光強度が

変わるカルシウムセンサーである

GCaMP6 を遺伝学的手法で導入して

経頭蓋の2光子励起顕微鏡で観察



GCaMP6 は去年開発されたばかりの

カルシウムセンサーです



Chen TW, et al., (2013)
"Ultrasensitive fluorescent proteins for imaging neuronal activity"
Nature 499: 295-300.






小難しい?話が続いてしまいました



実験結果をみますと、

前回ご説明したロータロッド学習後、

6時間後から24時間後まで

スパインが増え続けていたとのこと



もう少し詳しく見ますと、

スパインが増えやすい樹状突起と

増えにくい樹状突起が割とはっきり

分かれていたとのことです



これが論文タイトルの

branch-specific に対応します




さて、

肝心の睡眠の効果はどうでしょうか?



ロータロッド学習後、

すぐに寝かせるマウスと

8時間寝かせないマウスを比較します



どうやって寝せなかったかと言いますと

マウスが寝そうになったら

1、2秒おきに、綿棒で優しくタッチ



実際には、1時間で23回程度までタッチ



ちょっとかわいそうな気もしますが

頑張ってもらったようです



実験の結果、

運動学習後、すぐに寝たマウスでは

スパインがより多く増加、つまり

新しい回路がたくさん出来ていて、

1日後や5日後でもロータロッド学習を

よく覚えていることが分かりました



新しい技を身につけるには

練習直後に寝るのがコツなのですね



あくまで、マウスの結果ではありますが

ヒトでもそうなっているかもしれません



とりあえず、

試してみる価値はありそうです




(おしまい)




文:生塩研一




お読みいただきまして、ありがとうございました。
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