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海の浅瀬や

磯の水たまり(タイドプール)で、

ナメクジの化け物のようなものを

ご覧になったことはありますか?



それは、

小さくて色鮮やかなら、ウミウシ

大きめなら、アメフラシでしょう




アメフラシ


(アメフラシ)




ナメクジのような形をしていますが、

貝の仲間です



アメフラシとウミウシは見た目こそ

似ていて、食べる物は違います



アメフラシは、

ワカメなどの海藻を食べる草食性



ウミウシは、

海綿動物、ヒドロ虫、コケムシなど

小型の動物を食べる肉食性が多いです




前者のアメフラシ、

意外かも知れませんが、

脳研究者の間では教科書に出てくる

動物として、よく知られています



こんなナメクジの化け物と、脳の間に

どんな関係があるのでしょうか?




脳の機能で重要なものの一つに

記憶があります



アメフラシを使って

記憶や学習の研究したのは

エリック・カンデル(Eric Kandel)博士




2000年に、

ノーベル生理学・医学賞を

受賞されています




アメフラシは、水管から

海水を吸い込んでエラ呼吸します



その水管が強い水流を感じたり

何かものが接触すると、

外敵から水管やエラを守るために

身体の中に引き込めるという

エラ引き込み反射を行ないます



神経情報処理としては

腹部神経節にある数十個の

ニューロンが関わっています



この反射は生まれながらにもつ

行動なのですが、

これが学習によって変化します



水管を絵筆でちょっとタッチすると

水管とエラをヒュッと引っ込めますが、

それを3分おきに繰り返すと

10回目くらいには

エラ引き込め反射が起こらなくなります



つまり、

絵筆での軽いタッチされても

その後に攻撃されることないので

危険性はなく、

水管とエラを引っ込める必要はない

と学習したのですね



どうして、そんなことを

学習する必要があるのでしょう?



それは、

水管やエラを引っ込めるには

エネルギーを使いますので

余分なエネルギーは使わない方が

エコで得策だからなのですね




この学習でどれくらい記憶できるか

ということですが、

絵筆で10回くらいタッチするだけだと

10分程度記憶します



でも、

10回タッチを1日に4回やって

それを4日間続けると

3週間も記憶できるそうです



これ、

1回覚えただけでは忘れやすく

繰り返し覚えると記憶しやすいという

ヒトの記憶と似ていますね



動物には、先天的に身を守る反射などの

仕組みがあるだけでなく、

生まれた後の経験から学習して

命を守る能力が備わっています



そのためにも、

記憶はとても大事な機能なので

結構下等な動物でも備わっているのです



アメフラシは記憶のことを

教えてくれた恩人なのですね



海で見かけたときは

気持ち悪がらずに

ちょっとだけ感謝の気持ちを

もってもらえたらと思います





(おしまい)





文:生塩研一




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