昨日は、

自分のペースで歩くと頭が速く回る

というのを確かめた実験をご紹介する

ということで、

二重課題のことと、

実験の中で使われた、N - バック課題

についてお話ししたところまででした



拙ブログ『自分のペースで歩くと考えやすい(1)』



ご紹介する論文はこちら↓


Schaefer S, et al. (2010)
Cognitive performance is improved while walking:
Differences in cognitive–sensorimotor couplings between
children and young adults
European Journal of Developmental Psychology
7 (3), 371–389.






今日はその続きです



N - バック課題を歩きながら

してもらうわけですが、

歩いてもらうのはトレッドミルの上



俗に言う、ルームランナーです



自然な状況を作るため

前方の 2m x 2.7m のスクリーンに

風景を映して、それが、トレッドミル

のスピードに合わせて変わります



速く歩けば前方の風景が早く近付き、

ゆっくり歩けば風景もゆっくり近付く

といった具合に



実際に、各自のペースで歩いてもらった

平均歩行速度は

9歳児:3.09 [km/h]

若い成人:3.73 [km/h]



自分のペースではない速度でも

歩いてもらっています



その速度は、2.5 [km/h]

9歳児にとっても成人にとっても

遅いようになっています



意識的にゆっくり歩かないと

いけないわけです



ということで、

自分のペースで歩きながらN-バック課題

ゆっくり歩きながらN-バック課題

そして、それらと比較するために

座ったままでN-バック課題

をしてもらって、

課題の成績を比べます



N - バック課題については、

前回のブログをご参照ください




結果の大まかな傾向は

9歳児では、

1 - バック → 6点

2 - バック → 5点強

3 - バック → 3点前後

4 - バック → 2点前後


若い成人では、

1 - バック → 6点

2 - バック → 6点

3 - バック → 5点弱

4 - バック → 4点弱



いずれも6点が満点ですから

バックするステップが大きくなるほど

点数も下がっていますね



そして、

座ったのと、ゆっくり歩いたのとを

比べると、ゆっくり歩いた方が

わずかながら成績がよかったようです



歩いた方が頭が回るのですね



そしてそして、面白いことに

ゆっくり歩くのよりも

自分のペースで歩いた方が

さらに成績がよかったとのこと



成人では、5~10%

9歳児では、30%も

成績が上がったのです



論文の著者らは

2つの点を指摘しています



まず、

座ったままより歩いた方が成績がよい

というのは、歩いたことで

脳の処理能力が上がったから



そして、

同じ歩くのでも、自分のペースで

歩いた方が成績がよいのは

認知や注意の資源(resource)が

一定なので、

意識的にゆっくり歩くことに

認知資源を割いてしまったので

N-バック課題の成績が落ちた

とのことです



自分で意識しないくらいのペースで

歩きながら考えると

上手く頭の回転が速くなるのですね



ただ、

あまり周りを気にせずに歩いていると

事故に遭うかもしれませんので

くれぐれもお気を付けを。。




(おしまい)




文:生塩研一




お読みいただきまして、ありがとうございました。
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