最近の脳科学で
ホットな研究テーマの一つが BMI です
BMI というのは
Brain Machine Interface の略で
そのままカタカナで
ブレイン・マシン・インターフェース
と書かれることもあります
とりあえず、
脳と機械をつなぐ、と思ってください
実際には、脳の活動を記録して
そのデータを元に機械を動かすことが
多いようです
最近、
その BMI 関連の新しい論文が
Nature Communications の
2014年2月19日号に掲載されました
Shanechi MM, et al. (2014)
"A cortical–spinal prosthesis for targeted limb movement in paralysed primate avatars"
Nature Communications 5, Article number: 3237
doi:10.1038/ncomms4237
タイトルにある、prosthesis は
人工関節などの人工器官を意味します
論文に書かれているのは、
2頭のサルを使って
片方だけを一時的に麻痺させ
もう片方のサルの頭、
つまり、脳活動を使って
麻痺で自発的には動けないサルを動かす
というものです
ここでいう、prosthesis は
人工神経ということになります
麻痺していないサルの脳活動は
運動前野から記録しています
記録電極(細い針の集まり)として
4x8 の32本セットを
3,4セットで使って記録します
運動前野と書きましたが、
運動野といっても複数ありまして
運動前野はそのうちの一つです
他の運動野には
一次運動野、補足運動野、
それから、帯状皮質運動野があります
一次運動野は
身体の各筋肉の動きに
関わるニューロンが多くて
運動出力に一番近いです
運動前野は
ちょっと複雑な運動や
到達運動のように目で見た情報を
使う運動に関わります
補足運動野は
自発的な動きや両手を上手く使う動作
などに関わります
帯状皮質運動野は
報酬と関連した運動に関わります
実験では、
サルに画面に現れる○印を
タッチするよう訓練します
先ほど書きましたように
運動前野は目で見た情報を使う運動に
関わりますので、
運動前野の情報を調べるのですね
そして、
運動前野のニューロン情報を記録し
分析して、腕を実際に動かす脊髄の
ニューロンを刺激します
実際に手足を動かすときには、
まず、運動前野や補足運動野で
プランを立てて
各筋肉を収縮させる一次運動野に
情報を送ります
一次運動野の情報は脳を下降して
脊髄(背骨の中)を通り
脊髄の中にあって、腕なら腕の筋肉を
収縮させる神経を刺激することで
腕の筋肉が収縮して、腕が動きます
その結果を元に、
実際に筋肉を収縮させる脊髄の
ニューロンを刺激するのです

脊髄にあるニューロンの刺激ですが、
首の骨(頚椎)の上から5番目と
6番目の間(C5~C6)に
16本の電極を2セット設置して
行ないます
ちなみに、
ヒトの頚椎は7個あります
首が長いキリンも7個
犬もマウスも7個
白鳥は25個もあるそうです
今回の実験に話を戻しますと
麻酔をしてないサルをマスター
麻酔したサルをアバターと呼んで、
マスターの脳(運動前野)から
記録したニューロン活動で
アバターの腕を動かすことに成功した
ということです
実験では
マスターとアバターの役割を
入れ替えてもやっています
今回の実験は、頭蓋骨を開けて
脳に電極を刺すという技術だという
こともあって、すぐにヒトに応用する
というわけにはいきませんが、
脳や神経と機械をつなぐ BMI の研究が
急速に進んでいるのは確かです
(おしまい)
文:生塩研一
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