前回は

答えをよく知らないときに

推定する際には

関係ない情報に影響されるという

アンカリング効果の例として

トヴェルスキーとカーネマンの論文から

ルーレットで「偶発的に」呈示された

数字がその直後の推定に対して

無意識に影響した、

という実験を紹介しました


拙ブログ『あなたは操られている アンカリング効果』







今回も

トヴェルスキーとカーネマンの論文から

紹介してみましょう



Tversky A & Kahneman D (1974)
Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases
Science 185 (4157): 1124-1131






論文中で、

前回紹介した実験のすぐ後に

書かれているのが、

以下のかけ算の「推定」です



もちろん、計算ですから

ゆっくり計算すれば

正しい答えは出るのですが

短時間で推定してもらいます



被験者は高校生



そろばんが得意とか

フラッシュ暗算ができる生徒は

多分、含まれていないでしょう



で、あるグループには

8 x 7 x 6 x 5 x 4 x 3 x 2 x 1


別のブループには

1 x 2 x 3 x 4 x 5 x 6 x 7 x 8

を、それぞれ5秒以内に

推定してもらいます



大体、いくつくらいだと思いますか?







高校生に試してもらった結果、

8 x 7 x 6 x 5 x 4 x 3 x 2 x 1

の方は、中央値が 2250

1 x 2 x 3 x 4 x 5 x 6 x 7 x 8

の方は、512 だったのです



ちなみに、答えは 40320



いずれも不正解だったのが問題ではなく

かける順番が推定に影響したということ



実際に推定しようとすると、

最初(左端)のいくつかを暗算して

それに基づいて

その先に続く数を考慮して推定する

と考えられます



その際、

8 x 7 x 6 x 5 x 4 x 3 x 2 x 1

のように大きい数から小さくなると

最初の数が大きいので

それがアンカーとなり、

結果的に大きく推定してしまう



最初の数が小さい

1 x 2 x 3 x 4 x 5 x 6 x 7 x 8

は、アンカーが小さいので

より小さく推定する、というのです




前回、ご紹介した

全く関係のないルーレットの数字に

アンカーされるよりはマシ

かもしれませんが、

人の判断はこんなものです




アンカリング効果を商売に活かす

というときに


最初は高い値段を付けたらよい

なぜなら、それがアンカーになって

それだけの価値があると思わせられ

そこから値引きするとお得感が出て

購買意欲を高めるから、


という話をよく聞きます



関係ない数字にすら

アンカーされてしまいますので

その効果がベースとなり

さらに、

価値やお得感とつながって、いい戦略

のように見えるかもしれません



しかし、果たしてそうでしょうか?



顧客は後で他の情報を知り得ますから

結果的にお得だったのかどうかは

すぐにバレてしまいます



バレてしまうと、騙されたと思って

二度と買ってくれなくなるでしょう



一時的な利益よりも

信頼される関係構築で

リピートしてもらう方が

ずっといいと思いませんか?



アンカリング効果を知った上で

正しく使いたいものです





(つづく)





文:生塩研一





お読みいただきまして、ありがとうございました。
リクエストやコメントもお待ちしています。お気軽にどうぞ~!
対応できない場合はごめんなさい。。


応援してくださる方は、下のバナーをクリックビックリマーク
ランキングサイトが開いたらOK! 


自然科学 ブログランキングへ

にほんブログ村 科学ブログ 自然科学へ
にほんブログ村


Facebook の「いいね!」も嬉しいです!


Twitterもやってます



読者登録してね