※ 残念ながら、STAP細胞の論文は
2014年7月3日、掲載した Nature 誌が
取り下げを発表しました
※ 以下は、それ以前に書いたままです
前回は
STAP細胞を理解する準備として
ES細胞について書きました
受精卵からの発生段階が少し進んで
着床前の胚盤胞の中にある
内細胞塊の細胞は
身体のあらゆる部分の細胞に
なれる能力をもっている
なので
その細胞をとってきて
目的の臓器になるよう
誘導して移植する、
というのが ES細胞でしたね
拙ブログ『簡単!STAP細胞講座(1)ES細胞の復習』
今回は
iPS細胞を簡単に見ておきたいのですが
その前に、、
ヒトの身体を構成する細胞って
何個あるのでしょう?
答えは、60兆個
一つの受精卵から、こんなにも
膨大な数の細胞ができるのですね
その60兆個の細胞は
出来たら出来っぱなし
というわけではありません
脳や心臓など
一部のほとんど再生しない臓器を除いて
常に細胞が壊され作られることで
新しい細胞に入れ替わっています
臓器によって細胞の働きは違いますから
新しい細胞に入れ替わるときは
その臓器に特化した細胞が作られます
新しい細胞は、元の細胞があって
それが分裂して出来るわけですが
その元の細胞を「幹細胞」と言います
例えば、
造血幹細胞から、いろいろな血液細胞が
肝幹細胞から、いろいろな肝細胞が
皮膚幹細胞から、いろいろな皮膚細胞が
新たに作られます
ES細胞のところで
その細胞を目的の臓器になるよう
誘導して移植する、と書きましたが、
誘導するというのは
上述の造血幹細胞や肝幹細胞、
さらにはもっと分化の進んだ細胞、
さらに組織や臓器ににすることです
これを分化誘導と言います
で、
iPS細胞ですが、
ES細胞のように分化誘導できる、
胚盤胞の細胞を使うのではなく、
分化が終わり、身体の臓器や組織の
細胞として機能している「体細胞」を
また分化できる状態に
戻してしまおうというものです
戻した状態の細胞を
iPS細胞(人工多能性幹細胞、induced Pluripotent Stem cells)
と言います
iPS細胞について
細胞を初期化したとか
リセットしたとか言われるのは
そういう意味です
iPS細胞を作るには
体細胞にいくつかの遺伝子を導入します
遺伝子の導入にはウイルスを使います
ウイルスというと
何だか危なそうな感じもしますが、
特定の遺伝子を組み込むだけなので
問題はありません
で、例えば、
皮膚の細胞を取ってきて
ウイルスを使って
山中因子と呼ばれる4つの遺伝子を
導入します
すると、あら不思議
あの融通の利きそうになかった
体細胞が、いろいろな組織の細胞に
変化できる細胞になってしまうのです
はい。iPS細胞の出来上がり
これで、ES細胞と同様に
いろいろな臓器の細胞に
分化誘導することができます
分化が終わった体細胞は
分化ができる状態に戻すことは
不可能と考えられていたのに
それが実現できた、
ということが画期的で
ノーベル賞の受賞につながる偉業
だったのでした

山中伸弥博士
『【写真特集】ノーベル医学生理学賞に山中伸弥氏 iPS細胞作製』より
ただ、
全てのタイプの細胞に変化できる
というわけではなく
胎盤や臍帯(へその緒)といった
胚外組織には分化できません
これは、ES細胞も同じこと
iPS細胞はこんな感じです
次回、
ここまでの下準備を踏まえて
ようやく STAP細胞について書きます
お楽しみに!
(つづく)
文:生塩研一
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