目に入る視覚情報は
網膜の視細胞で電気信号に変えられ
視索、視床の外側膝状体を経由して
一次視覚野(V1)に送られます
V1は後頭葉にありますから、
頭の前から入った視覚情報は
一旦、頭の一番後ろまで運ばれて
処理されているのですね
V1では
網膜上での位置情報が反映され
また、
線の傾きなど単純な図形的特徴に
反応する小領域であるコラム構造が
構成されています
V1からの情報は
V2, V3, V4, V5 といった高次視覚野
に送られて処理が進みます
V2 から先の視覚情報処理は
色や形 を分析する腹側路と
空間情報や動き を分析する背側路
の2つに分かれます
腹側路で、V4 の後に処理を受け持つ
IT野(Inferior Temporal cortex、下側頭皮質)では
顔の特徴に反応するニューロンが
fMRI や OISI で見付かっています
OISI というのは、ちょっと
聞き慣れないかもしれませんね
Optical Intrinsic Signal Imaging (OISI)
日本語では
光内因性信号計測とかいいます
脳の光計測には
外因性計測と内因性計測があり、
外因性(extrinsic)計測では
電位感受性色素などを用いることで
空間分解能・時間分解能ともに
優れた計測ができます
ただし、
色素が生体に影響を与えたり
色素がずっと安定していないので
計測が不安定にならざるを得ません
一方、内因性(intrinsic)計測では
外から色素などを何も加えません
ヘモグロビンが
酸素をくっつけているかどうかで
当てた光の吸光度が変わる
という性質を利用します
神経が活発に活動する領域では
代謝が盛んで酸素が必要になるので
それを運ぶ血液を調べて
神経の活動を間接的に見ましょう
というわけです
ただし、
神経が活発に活動してから
血流が増えるまでは時間がかかるなど
時間や空間の精度が
外因性計測より劣ります
OISI では
頭蓋骨だけでなく
脳を覆おう硬膜も除去して
光を当てます
その波長は、例えば 605nm
色で言えば、オレンジくらい
この波長では、ヘモグロビンに
酸素がくっついていると
吸光度がほぼ0なので
酸素が運ばれる様子がわかります
反射光をCCDカメラで検知
例えば、6.4 x 4.8 mm で
320 x 240 pixels
近年、流行りの NIRS(ニルス)では
頭蓋骨などは除去せず、頭皮上から
光をあてて反射光を計測するため、
光の透過性が不可欠であり
頭蓋骨などをちゃんと透過してくれる
近赤外線が用いられます
ご参考:拙ブログ
『脳の活動はどうやって調べるの?(3)NIRSその1』
『脳の活動はどうやって調べるの?(4)NIRSその2』
『脳の活動はどうやって調べるの?(5)NIRSその3』
明日は
IT野の視覚情報処理に関わる
ハード的脳構造がどうなっているか
を調べた実験をご紹介しますね
(おしまい)
文:生塩研一
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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