今日は秋晴れのいい天気でしたね


息子の運動会で小学校に行きました


日なたは暑くても、日陰は涼しくて

とても過ごしやすかったです




さて、



マルセル・プルースト

『失われた時を求めて』

紅茶に浸したマドレーヌがきっかけで

昔の記憶が蘇る

という有名な場面がありますね



ちょっと長いですが引用してみましょう


「私は何気なく、お茶に浸してやわらかくなったひと切れのマドレーヌごと、ひと匙の紅茶をすくって口に持っていった。ところが、お菓子のかけらの混じったそのひと口のお茶が口の裏にふれたとたんに、私は自分の内部で異常なことが進行しつつあるのに気づいて、びくっとした。素晴らしい快感、孤立した、原因不明の快感が、私のうちにはいりこんでいたのだ。
(中略)
そのとき一気に、思い出があらわれた。この味、それは昔コンブレーで日曜の朝(それというのも日曜日には、ミサの時間まで外出しなかったからだ)、レオニ叔母の部屋に行っておはようございますを言うと、叔母が紅茶か菩提樹のお茶に浸してさし出してくれた小さなマドレーヌの味だった。プチット・マドレーヌは、それを眺めるだけで味わってみないうちは、これまで何ひとつ私に思い出させはしなかった。」



このように

匂いで過去の記憶が蘇ることを

プルースト効果とも言います



匂いの感覚である嗅覚は、

視覚・聴覚・触覚・味覚といった

他の感覚とともに5感の一つです



ただ、嗅覚だけは

ちょっと特別な感覚だったりします



他の4つの感覚はどれも

それぞれの感覚器で受容すると

脳の深い所にある間脳の視床を

経由して、大脳皮質のそれぞれの

感覚野に情報が送られます



しかし、

嗅覚だけは視床を経由しません


感覚器で受容すると

嗅神経からいきなり大脳皮質の

側頭野にある嗅覚野や

海馬、扁桃体、視床下部に

情報を送ります



海馬・扁桃体は

記憶や感情に関係する領域です



匂いで過去の記憶が蘇る

というのは脳科学的にも

そんなにおかしくない話なのです




昨日のブログでは

嫌な体験(電気ショック)を

特定の匂いと結びつけて

ノンレム睡眠中にその匂いを嗅がせると

嫌な体験に対する負の感情が減った

という論文を紹介しました



『嫌な記憶は匂いと結びつけてノンレム睡眠で処理』



ノンレム睡眠中に

その体験を呼び起こすことで

記憶が再処理されて

負の感情が弱まるのだと考えられます




ところで、


以前、拙ブログで

トラウマの苦痛から解放するための

最新の治療法について書きましたが、

それは寝ているときではなく

起きているときの治療法でした


『トラウマからの解放(上)』


『トラウマからの解放(下)』




そちらで紹介した治療法もそうですが

トラウマ治療の根底にある考え方は

暴露、つまり、思い出すことです




ふと、思ったのですが、



昨日紹介した論文と合わせますと、


トラウマ体験を思い出している間に

何か決めた匂いを嗅ぐ習慣を

つけておいて、

寝ている間にその匂いを嗅ぐと

ノンレム睡眠中に記憶が呼び起こされ

自動的に再処理されるのではないかと



寝ている間に解消されるなら

苦痛も少なくていいですよね



もちろん、

これは勝手な推測に過ぎません


今後の研究を待ちましょう



(おしまい)







文:生塩研一





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