昨日のブログでは
『ドーパミン、出てますか?』
神経伝達物質の一つである
ドーパミンは、報酬に関わり
気持ちいいときに出る
というお話をしました
今日は、
ドーパミンは報酬に
単純に関係しているだけではない
と近年の研究で明らかになってきた
というお話です
まず、ジュースなどの
具体的な報酬ではなく、
無味乾燥な図形でも、それを
報酬と関連づけさせると
その図形を見ただけでも
ドーパミン神経が活発になり、
その活動も
報酬が予想より多ければより活発に
予想より少なければあまり活動しない
ことが分かってきました
例えば、
Bayer HM & Glimcher PW (2005)
"Midbrain dopamine neurons encode a quantitative reward prediction error signal"
Neuron 47(1): 129-141.
そのような、
予想した報酬との違いを
表現しているという知見から、
ドーパミン神経は
試行錯誤で報酬により学習を進める
強化学習 や やる気と
関係があるのではないかとも
考えられてきています
さらに、不思議なことに、
報酬とは関係のない事象に対しても
ドーパミン神経は活発になることが
わかってきました
嫌なことに対してさえも
このドーパミン神経の活動が
活発になるという報告まであるのです
松本正幸博士らの
Nature に載った実験です
サルに与える報酬は、リンゴジュース
サルが嫌がる刺激は、エアパフ
エアパフというのは
顔に空気を吹きかけるということです
サルはこれを嫌がります
実験の結果、
以前から知られているような
リンゴジュースを予期させる図形を
見せたときに活発になり、
エアパフを予期させる図形では
活動が下がるという
ドーパミン神経もありましたが、
驚いたことに、
エアパフを予期させる図形を
見せたときにも活発になる
ドーパミン神経が黒質線条体の
背側部で多数見つかったのです
さらに、
予期せず突然与えたエアパフでも
活動が活発になったドーパミン神経が
あったそうです
このように、
ドーパミン神経には
以前から知られている報酬に関わる
細胞だけではなく、
嫌なことや、驚きなど
他の認知活動に関わる細胞もあることが
分かってきたのです
Matsumoto M & Hikosaka O (2009)
"Two types of dopamine neuron distinctly convey positive and negative motivational signals"
Nature 459: 837-841.
不意打ちでビックリさせられても
あまり嫌な感じがしないのは
快楽物質のドーパミンが出るから
なのかも。。
明日は、
松本正幸博士らの最新研究で
ドーパミン神経が記憶にも関係する
という論文をご紹介しますね
(つづく)
文:生塩研一
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