蒸し暑い夏が戻ってきましたね
お元気でいらっしゃいますか?
さて、
実際に顔と顔を合わせる
コミュニケーションの場では
話す内容や話し方だけでなく
顔の表情がとても大事ですよね
ヒトが顔を見るときの特徴は、
【1】目・鼻・口の全体的な配置に高い感受性を持ち、これを元に非常に効率よく顔を見分けている。
【2】この感受性は、顔が上下さかさまになると減少する。
【3】この感受性は、特定の顔(種、人種)に対する接触経験の中でチューニングされる。
【4】ヒトが顔を認識する際には、脳の右半球により依存する。
(以下紹介のプレスリリースより)
とのことです
【1】について
これは何となくお分かりでしょう
美人顔の特徴として
目・鼻・口の大きさや位置に
バランスのよい比率があって
その中に黄金比があるとも言われます
【2】について
これは分かりにくいかもしれませんね
逆さの顔はあまりきちんと認識しない
ということなのですが、
百聞は一見に如かず
写真でお示ししましょう
イギリスのサッチャー元首相の
逆さ顔です

左右の2枚は若干違うのは
わかりますが、
それほど違和感はありません
では、これをそのまま180度回転!

どうですか?
右の写真、酷いですよね(笑)
最初の写真では、向かって左です
このように、
逆さ顔はちゃんと認識しないのです
写真は以下より
科学技術振興機構報 第456号 図1 サッチャー錯視
他の動物ではどうかというと、
【1】と【2】は
ヒト以外の動物にも広く見られ
【3】は、微妙
【4】は、ない
と考えられていました
最近、
京都大学霊長類研究所の研究者らが
チンパンジーが【3】と【4】を
示すかどうかを調べた論文を発表
京都大学のプレスリリース
「チンパンジーも脳の右半球に優位に依存して顔を認識することが明らかに-顔知覚様式および脳の左右脳非対称性の進化的基盤の解明に期待-」
Dahl D, et al. (2013)
"Laterality Effect for Faces in Chimpanzees (Pan troglodytes)"
Journal of Neuroscience 33(33): 13344-13349.
チンパンジーに
まず、ある顔写真を見せて
次に、
それと同じ写真と違う写真を2枚並べ
最初と同じ写真を選んでもらいます
それに慣れたら
選ぶ写真に「キメラ顔」を混ぜます
「右キメラ顔」というのは
顔の右半分を左にも折り返した写真
「左キメラ顔」はその左バージョン
下図では、
左がオリジナルの写真
真ん中が「右キメラ顔」
右が「左キメラ顔」

真ん中と右では、
どちらかと言うと、真ん中の方が
オリジナルに似ていませんか?
これが【4】の言わんとすることです
顔は右脳が処理するので
左視野をよくみている
左視野というのは
右目でも左目でもいいのですが
見えている視野全体の左半分です
つまり、
面と向かった他人は
相手の顔の右半分をよく見ている
ということなのです
では、チンパンジーではどうか?
というのが今回の実験です
結果的に言いますと
チンパンジーも「右キメラ顔」
つまり、
相手の顔の右半分をよく見ていて
【4】が示され、
見せるのを
同種のチンパンジーの写真と
異種のヒトの写真とで比べると
チンパンジーの写真の方が
「右キメラ顔」を選ぶ回数が多く
【3】も示されたとのこと
チンパンジーの顔認識は
ヒトと同じ特徴があったのですね
チンパンジーは別にしても
ヒトは相手の顔の右半分を見ますから
右半分をより良く見せないといけません
顔の右半分の手入れが大事
ということですね
ただし、
鏡で見る自分の顔の右半分は
向かって右半分に映っていますので
その点、お気を付けください
(おしまい)
文:生塩研一
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