記憶の問題は
先日ご紹介した利根川進博士の研究など
『光で記憶を再生させる 利根川進博士らの研究1』
『記憶の曖昧さに光をあてる 利根川進博士らの研究2』
脳研究としても取り組まれていますが、
日常的な問題とリンクさせるには
まだまだ難しいことが多いです
その点では
心理学的な研究の方が進んでいます
覚える必要がない日常的な場面は
結構覚えていたりする反面、
勉強で覚えようとしても
なかなか覚えられないのは皮肉
というか、困りますね
日常的なことだけでなく
非日常的な出来事、
例えば、家族旅行のことでも
話が食い違ったりします
記憶違いは
大事に至らないケースも多いですが、
事件の目撃証言などでは
あってはならない重要な問題です
犯行現場など、とっさの出来事は
覚えているようでも
意外と勘違いして覚えていることが
少なくないです
心理学者のエリザベス・ロフタス
が行なった有名な記憶の実験に
ショッピングモール実験があります
被験者は、18~53歳の24名
まず、被験者が子どもの頃の経験を
家族から3つ聞き取ります
そして、
ショッピングモールで迷子になった
という嘘の経験を研究者が作文
合わせて4つの「経験」を
被験者に聞かせて
思い出すことを書いてもらいます
本当の経験は、被験者の68%が
嘘の経験は、29%が覚えていると回答
後日の面接でも、25%が嘘の経験を
実際にあったものと信じていて
作文になかった「詳細」も
追加で思い出したりしています
ありそうだなと思うと
ハッキリした記憶がなくても
そうだったかな?
と思ってしまうですね
似たような実験をもう一つ
これも、ロフタスの実験です
子どものときに起こりがちな出来事を
40個並べたリストを用意して
被験者にその一つずつに対して
実際に経験したかどうかを聞きます
2週間後、
先の調査で経験していないと
回答した出来事のうちいくつかを選び
被験者にその出来事を
具体的にイメージしてもらいます
そうしておいて、前回と同じように
40個のリストについて、それらを
経験したかどうかを聞いたところ、
そういうイメージをしなかった被験者に
比べて、直前にイメージをした被験者は
経験していない出来事でも経験したと
高い確率で回答したのでした
イメージを具体的に頭に描くだけで
実際には経験していないことでも
記憶が書き換えられて
経験したことのように思えるのですね
なんと恐ろしや
明日も記憶についての
心理実験をご紹介しますね
(つづく)
文:生塩研一
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