【このページから読まれる方へ】
今日紹介する実験は
同じグループの去年の実験の続き
ですので、それについて書いた
昨日のブログからお読みいただくと
分かりやすいかと思います
『光で記憶を再生させる 利根川進博士らの研究1』
さて、
今日は、昨日の続きで
先日、Science に掲載された
利根川進博士らの論文を
紹介しましょう
理化学研究所のプレスリリース
「記憶の曖昧さに光をあてる
-誤りの記憶を形成できることを、光と遺伝子操作を使って証明-」
Ramirez S, et al (2013)
Science 341(6144) 387-391.
まず、
マウスを安全な箱 A で探索行動させ
その間だけ反応するニューロンに
光をあてると反応するように
遺伝子導入します
今度は、
マウスを環境が違う箱 B に移します
そして、
遺伝子導入したニューロン群に
光をあてて、それと同時に、
足に弱い電気刺激を与えます
マウスは足への電気刺激を
嫌いますので、うずくまります
マウスが、箱 B に置かれた状態で
箱 A を思い出す脳への光照射
と 足への電気刺激 を繰り返すと、
箱 A を思い出す脳への光照射で
うずくまるようになりました
脳の中では何が起きたのでしょうか?
新しい環境で電気刺激を受けたので
新しい環境 と 電気刺激が
結びつけられたのでしょうか?
それとも、
箱 A を思い出す脳への光照射は
箱 A の記憶を呼び起こしているので
箱 A の記憶 と 電気刺激が
結びつけられたのでしょうか?
そこで、
マウスを安全な箱 A に入れてみました
すると、入れただけで
うずくまるようになったのです
つまり、
安全であったはずの箱 A の記憶
と 電気刺激が
結びついてしまったのです
実験結果から、著者らは
間違った記憶の形成を示した
と言っています
これ、
ちょっと分かりにくいような。。
むしろ、
入力中の新しい情報(環境)よりも
思い出している情報の方が
関連づけられやすい、
と捉えた方がいいかと思います
実験上の問題として、
光照射で記憶が
異様に強く引き出された可能性も
否定できませんが
いずれにせよ
受けた刺激が、新しい情報よりも
記憶の中の情報に結びつけられる
というのは、あり得る話だと思います
記憶は
何らかのきっかけで作り替えられる
結構もろいもの、なのかもしれません
(おしまい)
文:生塩研一
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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