前回のブログでは、
脳の活動はどうやって調べるの?(4)NIRSその2
NIRS(ニルス)では近赤外線で
脳血流の変化から脳活動を調べる
血流が増えると
酸素がくっついたヘモグロビン
酸化ヘモグロビン(oxy-Hb)
が相対的に増えて、
くっついていないヘモグロビン
還元ヘモグロビン(deoxy-Hb)
が相対的に減るので、
両者の比率を調べると
脳血流の変化が調べられる
それには、
酸化ヘモグロビン(oxy-Hb)と
還元ヘモグロビン(deoxy-Hb)
の近赤外線の吸光係数が違うこと
さらに、
近赤外線の波長によって
それぞれの吸光係数が変わるので
異なった波長の近赤外線2本を使って
脳で散乱された後に検出すると
両者の比率がわかって
脳血流の変化が調べられる
ということでした
今回は、
NIRS の利点や計測の実際について
について簡単に書いてみます
NIRS の利点は
何と言っても、手軽さでしょう
fMRI などでは
こんな大層な機械の中に頭を入れて
じっとしておかないといけません

wikiより
NIRS はヘッドギアをつけるだけで
イスに座った状態で計測できます

モデルは私です
プローブが並んでいますが
LDは、Laser Diode の意味で
近赤外線照射プローブ
PDは、Photo Diode の意味で
受光プローブです
プローブが密着しないと
ちゃんと計測できないので
髪の毛があるところはしっかり
かき分けて装着する必要があります
近赤外線を照射された状態でも
何も感じません
NIRS で計測するのは
増える血流ですから
応答まで6秒くらいかかります
パソコンのディスプレイに
酸化ヘモグロビン濃度
還元ヘモグロビン濃度
総ヘモグロビン濃度
が表示され
脳活動が活発になった領域では
酸化ヘモグロビン濃度が増え
還元ヘモグロビン濃度が減ります
計測中は姿勢に気を付けます
前かがみや後ろかがみになると
血流が変わったり
プローブの接着が悪くなったりします
脳波では
ニューロンの電気的な活動を
計測しますので
同じく電気的な活動である筋肉、
例えば、目をパチパチしたり
歯を食いしばったりすると
その信号も拾ってしまいます
これをアーチファクトといって
除外しないといけません
NIRS は電気的な活動を
調べるわけではないので
筋活動を気にする必要はないのですが
口を開けたり閉じたりすると
側頭部の側頭筋が収縮することで
その付近のプローブが浮いてしまって
正しい計測ができなくなります
このときの信号は特徴的で
正しい信号では
酸化ヘモグロビンが増えて
還元ヘモグロビンは減るのに、
動いたプローブでは
両方の濃度が
急に同じ方向に変化します
他の利点としては
・装置も小型で持ち運べる
・時間分解能が高い(0.1秒)
・安価
などがあります
欠点としては
深部にある大脳基底核などの活動は
調べられないとか
空間分解能が低い、などがあります
それでも NIRS は手軽なので
今後、ニュースなどで
登場する機会が増えると思います
そのときには、また
この一連のブログをご参考ください
(おしまい)
文:生塩研一
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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