夏場はたくさん汗をかくので

脱水症状にならないよう

水分をしっかり取ろう、

と意識する人は多いと思います



その心がけはよいのですが

ちょっと注意があります



水分だけではなく

塩分も一緒にとりましょう



よく聞きますが

これ、どうしてでしょうか?




ヒトの体重で一番占めているのは

水 です



体重に対する割合でみると

成人男性で、60%

成人女性で、55%



ヒトは60~100兆個もの

細胞から構成されていますが、


水の大部分(2/3弱)は細胞内に

残り(1/3強)は細胞外にあります



血液は細胞外液です



乳児の水分量は70%以上と

みずみずしいですが、

実は、細胞外にたくさんあり

細胞内は成人より少ないくらいで、

下痢や嘔吐で簡単に脱水症状に

なってしまいます



ところで、

体内の水分調節は

どうなっているのでしょうか?



体内の水分には

電解質などいろいろな物質が

溶け込んでいて、生命維持活動に

重要な役割を果たしています



溶け込んでいる成分の組成は

かなり狭い範囲に調整されていて

それらの成分の体外への排出は

腎臓で行なわれています



腎臓の機能にもいろいろありますが、

脱水との関係で言えば

水分が多いと血液が薄くなって、

つまり浸透圧が小さくなると

脳の視床下部にある浸透圧受容器が

それを感知して、水分を体外に排出し

逆に、水分が減って血液が濃くなると

水分を体外に排出しないようにします



塩味の強い物を食べると

血液の塩分濃度が高くなり

のどが渇いて、水分をとって

血液の塩分濃度を下げたり、


腎臓で Na+ を排出するようにして

電解質が一定になるよう調整されます




夏場に外でスポーツをするなどして

大量の汗をかくと

体から水と塩分が失われます



先に書きましたように

のどが渇くかどうかは

血液の濃さが関係します



水と塩分の両方が失われると

体内の水分量は減りますが

血液の濃さも極端には

変わりません



体からは水分がかなり失われていて

脱水症状の一歩手前にもかかわらず、

あまりのどが渇いたとは

感じられないのです



このような状態を

「かくれ脱水」と言うこともあり

非常に危険な状態です



さあ、このとき

脱水に気を付けている人が

陥りやすい危険性があります



たくさん汗をかいた自覚から

あまりのどは渇いていないけど

脱水症状になると危ないから

何か飲まないといけない


でも、スポーツドリンクは近くにない


仕方がないので、水だけを飲んだ



さて、どうなるでしょう?



水だけを飲んだことで

血液が薄くなって

視床下部の浸透圧受容器が

それを感知して、

水分が尿として排出されます



すると、

血液量自体も少なくなりますから

血圧が低下して倒れるでしょう

脱水症状も急激に進んで

重症化してしまいます




ヒトの体は、

体内の成分も非常に狭い範囲で

調整されていますので

失われたら補う必要があります



汗は水だけではありませんので

塩分も採らないといけません



ということですので、

水分を摂るということだけは不充分



もう一点

スポーツドリンクは

塩分が少ないので

経口補水液がいいでしょう

商品では、OS-1 など


なければ塩っぱいものを舐めるとか




汗をたくさんかくときは

経口補水液などで

水分と塩分を補給しましょう



(おしまい)




文:生塩研一



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