脳は場所によって

機能的な役割を分担していて

これを、機能局在といいます



例えば、

右手を閉じたり開いたりすれば

その運動に関係する脳領域の活動が

活発になります



脳の活動を調べるということは

脳を構成するニューロンの活動を

調べるということです



脳には

1000億個以上のニューロンがあって

複雑なネットワークを組んでいます



詳細な脳の情報処理過程を調べるには

ニューロンネットワークの活動を

時間的に追う必要があります



しかし、そのネットワークは

あまりにも複雑なので、

実際の情報処理に関わるニューロンを

全て網羅してそれらの活動を

ネットワークとして計測するのは

ほとんど不可能です



そこで、

実際に実験で計測されるのは

個々のニューロンレベルの微視的な活動

もしくは、

脳領野レベルの巨視的な活動です



私が研究で行なっているのは

前者の、個々のニューロン活動です



実験では

実験動物の頭蓋骨を取って

脳を覆う硬膜の上から

細い針電極を差し込んでいきます



ニューロンの細胞体が

たくさんある層では

ニューロンが活動している様子を

比較的簡単に知ることができます



ただ、同じニューロンの活動を

ある程度長い時間にわたって

ちゃんと計測するには

経験を元に、数μm単位で少しずつ

電極を操作するなど技術を要します



実験に使用する細い電極は

被膜で絶縁を施した金属針で

先端のほんの少しだけ金属が

露出しています



ニューロン活動というのは

正電荷の Na イオンが

ニューロン内に流入することなので

急激な電位変化が起こります



ですから、ニューロンのすぐ近くに

電極の先端が達していると

その電位変化を拾って

ニューロン活動が計測できます



このようなやり方を

細胞外記録 といいます



$プラスサイエンス-single

ワシントン大学のサイトより





電極が1本の場合を

シングルユニットレコーディング

といい、その歴史は古いです



近年、複数の電極を同時に刺していく

マルチユニットレコーディングなども

開発されつつありますが

細胞外記録では

シングルユニットレコーディングは

現在でもよく実施されています



ただ、細胞外記録法は

生体にダメージを与えるので

ほとんど動物実験です



そこで、ヒトの場合は

ダメージを与えない方法が取られ

脳機能イメージングとよばれます



この話は次回にでも。



(つづく)




文:生塩研一



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