先日、NHKで、「がん」についての
とてもおもしろい番組がありました
簡単にご紹介します
NHKスペシャル「病の起原」
第1集 がん ~人類進化が生んだ病~
タイトルにある、「がん」
平仮名にするには理由があります
漢字の「癌」は、
皮膚や粘膜などの上皮組織
にできる悪性腫瘍
肉腫や白血病などは含まれません
一方、
平仮名の「がん」は、
悪性腫瘍全般を含みます
ですから、
「がん」と平仮名表記されているのです
さて、
がんは太古の昔からあったようです
1億5千万年前の恐竜
ディプロドクスの化石に
「がん」が見付かっています
そして、がんの起原は
さらに遡って、5億5千万年前
多細胞生物の誕生にあると。
多細胞生物では、
個体内で失った細胞をコピーで補って
個体を維持します
そのコピーを間違うと
「がん」が発生することになります
「がん」は、多細胞生物がもつ宿命
では、
なぜ、ヒトで「がん」が多いのでしょうか
番組では、その理由として、
4つの点を挙げています
【その1: 繁殖戦略 】
ヒト と チンパンジー は
遺伝子が1%しか違いません

上記、NHKのサイトより
しかし、がんでの死亡率は
ヒト = 30%
チンパンジー = 2%
この差は何でしょうか?
ヒトとチンパンジーの遺伝子にみられる
1%の違いを調べたところ、
精子を増殖させる遺伝子に違いが。。
ヒトでは精子を絶えず増殖させるように
なっていまして、その遺伝子が
がん遺伝子と同じだったそうです
つまり、
精子を絶えず増殖させるという、
繁殖戦略が「がん」をもたらした
と考えられるのです
【 その2:脳の巨大化 】
ヒトの祖先である
ホモ・エレクトス
は、それ以前のヒトよりも
高度な石器を作るなど
高い知性を持っていました
脳も急激に大きくなっていたのです
脳の巨大化に関わったもの
それは、
FAS という酵素
FAS は脂肪酸を作り出す酵素で
脳のニューロンの成長に大いに寄与します
脂肪酸がニューロンと関係があるの?
例えば、
青魚に多く含まれる、DHA
DHA も脂肪酸の仲間の不飽和脂肪酸
DHAはニューロンの樹状突起や軸索の成長を
促します
で、先の FAS ですが
その作用がヒトでは特に強く、
また、
がん細胞にも FAS がたくさんあったのです
脳を巨大化させた FAS が
がん細胞を元気にさせていたのですね
FAS がなくなれば、
がん細胞も元気がなくなります
ということで、
この FAS の機能を阻害する
がんの薬の開発も進められているとのこと
【 その3:出アフリカ 】
ヒトはアフリカを起原としますが
6万年前、
高緯度に移動しはじめたと考えられます
ある研究によると
北米では、日照の弱い高緯度ほど
がん患者の比率が高いことがわかりました
日照の強弱で何が変わるのでしょうか?
日光に含まれる紫外線を浴びると
皮膚でビタミンDが作られます
つまり、
ビタミンDが不足すると
がんになりやすいのではないかと。
そこで、高緯度の住民にビタミンDを
経口摂取してもらうと、
がんのリスクが半分程度に減ったとのこと
光を浴びてビタミンDを作ることで
がんを抑制していたわけですね
ヒトが赤道から離れたことが
新たな「がん」の原因になったとは。
ただ、紫外線を浴び過ぎると悪影響も
ありますので、1日15分が目安とか
ついでに、
ビタミンDは、小腸でのカルシウム吸収を
高める作用もありますね
【 その4:夜間勤務 】
睡眠に関連したホルモンに
メラトニン
があります
脳の松果体から分泌されるホルモンで
夜になると増えますし、
服用すると眠気がおきます
アメリカでは薬局で入手でき
不眠治療などに利用されているようです
日本の薬局では購入できません
このメラトニン、
抗がん作用も知られています
そして、
夜間勤務の看護師を調査したところ
乳がんの発生リスクが高かったとのこと
交替性の夜間勤務で、1.8倍
常勤の夜間勤務で、2.9倍
男性でも、
前立腺がんのリスクが、3倍
夜間勤務で明るい環境にあると
そのメラトニンが、1/5に
このメラトニン減少が
がんのリスクを高めていると考えられます
ヒトには、「がん」にかかる要素が
たくさんあるのですね
研究がもっと進んで克服される日が
少しでも早く来ますように。。
(おしまい)
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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